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東京大学物性研究所が最高記録を更新!1200 テスラの室内発生パルス磁場

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・物理学者らが超高精度で制御可能な磁場発生装置を開発。
・電磁フラックス圧縮を用いて1200テスラ【磁場強度の単位】の磁場を発生させることに成功。
・磁場強度の測定には反射型ファラデー回転プローブを使用。

磁場は、超伝導体、半導体、強相関電子材料、その他の様々なナノ材料など、固体物理学の分野の研究にとって極めて重要です。超高磁場(1000テスラ以上)は、物質科学に新たな知見をもたらし、新しい物理概念の理解を深めるのに役立ちます。

これまでにも、強磁場を発生させるための数多くの技術が開発されてきました。ほとんどの場合、磁束を圧縮してメガガウス磁場を発生させるために、2つの手法が用いられています。ひとつは化学爆薬を用いた爆発駆動による磁束圧縮であり、もうひとつは強力なコンデンサ・バンク・モジュールから発生する電磁力を用いた電磁磁束圧縮です。

最近、東京大学の物理学者たちが研究室で最強のパルス磁場【コンデンサに貯めた電気エネルギーを一気にコイルに流すことで瞬間的に非常に大きな磁場を発生させる磁場発生技術】を発生させました。以前に発生させた同様のパワーレベルの磁場に比べ、この磁場はより長い時間保持されました。この研究は、核融合発電への有用な応用や、材料科学者のための効果的な調査装置の開発につながる可能性があります。

どのようにして実現したのか?

研究チームは、電磁フラックス圧縮を使用して超高度に制御可能な磁場を発生させることができる洗練された装置を開発しました。これにより、1200テスラの磁場を発生させることができました。これは、これまでに作られた安定した人工磁場よりもはるかに強いものです。

この数字(1200テスラ)は注目に値する画期的な出来事です。つまり、地球の磁場(地表で測定)は25~65マイクロテスラです。一方、新しく開発された電磁濃縮超強磁場発生装置は、その2,000万倍から5,000万倍の磁場を発生するのです。

電磁濃縮超強磁場発生装置
画像出典:研究チーム
【コンデンサに充電した電気が瞬間的に放電され、480本の高電圧ケーブルによって集電板を経て主コイルへ導かれる。電磁誘導によってライナーにも電流が発生し、主コイルとの反発力により収縮する】

2001年にロシアの研究者たちが2800テスラの磁場を発生させた例外的なケースがありましたが、その爆発性の技術は実験に関わるすべての機器を爆発させ、磁場を制御することはできませんでした。非常に強い磁場を発生させるために、レーザーを使うこともできますが、それはナノ秒しか持続しません。

今回の実験で作られた磁場は100マイクロ秒近く持続し、レーザーで作られた磁場の何千倍も長いものです。長持ちする磁場を発生させることは可能ですが、その場合は強度で妥協しなければなりません(数百テスラに減少する)。

参考文献:AIP東京大学
【参考文献は英語です】

どうやって磁場を測定したのか?

磁場の測定には反射型ファラデー回転プローブが使われました。研究チームは、ライナーの中心にレーザーを照射しました。磁場はレーザー光の偏光を回転させ、その回転や偏光の度合いを分析して磁場の強さを計算します。この技術はファラデー回転として知られています。

このような超高磁場による可能性は、興味深いものです。例えば、物質環境の外側での電子の動きを観察することができます。これは、科学者が様々なタイプの電子デバイスをまったく新しい視点で研究するのに役立ちます。さらに、将来のクリーンエネルギーを供給する最も有望な方法のひとつである核融合発電の開発を後押しする可能性もあるのです。

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