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知っておきたい! 「ステンレス鋼」一般的な16種類の等級や特性

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本記事は、16 Most Common Stainless Steel Grades [Explained]
翻訳・再構成したものです。
配信元または著者の許可を得て配信しています。

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読了時間 : 約9分49秒

ステンレス鋼(stainless steel【簡単に「ステンレス」とも呼ばれます】)は、11%以上のクロムを含む鉄系合金の一種です。クロムは、合金を錆びにくくし、優れた耐熱性を与えます。

 

ステンレス合金は強度、耐久性、汎用性が高いため、その生産量は毎年世界中で増加し続けています。グランドビューリサーチ社のレポートによると、2019年の世界のステンレス鋼の市場規模は1,110億ドルで、2020年から2027年にかけて6.3%のCAGR【年平均成長率】で増加すると予想されています。

 

手術器具や3Dプリントから、装飾的な構造物や頑丈な工業的用途まで、これらの合金は幅広い実用性を備えています。特に建設技師や建築家であれば、様々なステンレス合金の固有の特性について十分な知識を持つことが重要です。これは、安全で長持ちする性能を確保するだけでなく、コストを最適化するのにも役立ちます。

 

ステンレス鋼の耐食性の大部分はクロムによるものですが、ステンレス鋼の合金を作るためには、異なる材料を無数に組み合わせる必要があります。

 

たとえば、炭素、窒素、アルミニウム、チタン、モリブデン、銅、ニッケル、ニオブ、セレンなどを一定の割合で使用することで、様々な特性を持つステンレス合金を作ることができます。

 

これらの合金はすべて、オーステナイト系、フェライト系、二相系、マルテンサイト系・析出硬化系ステンレス鋼の4つのグループに分類されます。グループ内には、組成、耐食性、磁性、強靱性など、合金の特定の特性を表す様々な等級があります。

 

現在、ステンレス鋼には155種類以上の等級があり、それぞれが独自の組成を持っています。この記事では、一般的に使用されている16種類のステンレス鋼を取り上げ、それぞれの利点や用途をご紹介します。

 

マルテンサイト系ステンレス鋼

マルテンサイト系合金は、様々な熱処理・時効処理によって焼き入れや焼き戻しが可能な合金です。鉄、11~17%のクロム、0.01~1.2%の炭素を主成分とする低炭素鋼または高炭素鋼になります。

 

マルテンサイト系ステンレス鋼は、焼き入れ(熱処理)状態と焼きなまし状態の両方で磁性を発揮します。非常に高い引張強度と耐衝撃性が要求される用途によく用いられます。

 

16.等級410

標準組成:12.5%のクロム、0.11%の炭素

 

等級410合金は、良好な耐食性を有する汎用のマルテンサイト系ステンレス鋼です。これらの特性は、焼き入れ、焼き戻し、研磨などの一連の処理を施すことでさらに向上させることができます。また、様々な熱処理により、幅広い特性を得ることができます。

 

一般的には、高強度で軽度の耐腐食性や耐熱性を必要とする用途に使用されます。たとえば、ボルト、ねじ、ナット、ガスタービン・蒸気タービン部品、ポンプ・バルブ部品、シャフトなどです。

 

15.等級416

等級416のステンレス鋼鈑

 

標準組成:13%のクロム、0.15%の硫黄

 

416合金は、ステンレス鋼の中で最も高い被削性を持っています。この加工性の向上は、硫化マンガンを形成する硫黄の添加によるものです。しかしながら、この添加により、耐食性、溶接性、成形性が若干低下します。

 

容易に機械加工できることや低コストであることから、焼き入れや未焼き入れ、高度に焼き戻しされた状態で使用されることがよくあります。主な用途としては、バルブ、ポンプ軸、モーターシャフト、洗濯機部品、自動旋盤用部品などがあります。

 

14.等級440C

標準組成:17%のクロム、1.1%の炭素

 

等級440Cは高炭素のマルテンサイト系ステンレス鋼で、驚異的な強度、良好な硬度と耐摩耗性、および適度な耐食性を備えています。440系のすべての合金鋼の中で、最も高い強度、硬度、耐摩耗性を備えています。

 

440Cは、転がり軸受、高品質のナイフの刃、ゲージブロック、バルブ部品、手術器具などに使用されています。

 

 

フェライト系ステンレス鋼

クロム含有量が10〜18%のフェライト合金は、ステンレス鋼の中で2番目に一般的な形態です。応力腐食に対して優れた耐性を持っており、その結果、腐食材料の摩耗が少なくなります。特に塩化物による応力腐食割れに強いのが特徴です。

 

フェライト系ステンレス鋼は、ニッケルをほとんど、あるいは全く含まない磁性のある非熱処理鋼です。ニッケル含有量が最大1%であるため、オーステナイト系ステンレス鋼よりも安価であり、ニッケル市場の変動に伴う価格変動の影響をほとんど受けません。

 

13. AtlasCR12

標準組成:11.5%のクロム、0.7%のニッケル

 

AtlasCR12は、等級409と410のステンレス鋼を最近改良したものです。濡れた状態での摩耗やわずかな腐食環境に対しても優れた耐性を持っています。

 

亜鉛メッキや塗装を施したアルミニウムや炭素鋼では長期間使用できないような様々な用途に有効です。それでも、湿度の高い環境の中では表面に軽い錆が発生することがあり、装飾用途には不向きな合金です。

 

現在、AtlasCR12は、製糖機械、炉・オーブン部品、鉱山・鉱物処理システム、輸送機器などに使用されています。

 

12.等級409

等級409ステンレス鋼のコイル

 

標準組成:11%のクロム、0.25%のニッケル

 

等級409は、まずまずの成形性と経済的な耐食性(炭素鋼よりも優れている)を備えています。オーステナイト形成を避けるために低炭素レベルとごく少量のチタンを含んでいます。

 

これにより、焼きなまし温度にさらされた時や溶接時に鋼が硬化しません。チタンの添加は、溶接時の硬化を防ぐために合金を安定させるだけでなく、クロム炭化物の形成を防ぎます。

 

この等級は主に、特に高温で、外観が耐食性と機械的特性の二次的な考慮事項である用途で使用されます。たとえば、家庭用暖房システム、自動車の排気システム、燃料フィルター、電気変圧器のケースなどです。

 

11.等級430

等級430鋼の丸棒

 

標準組成:16%のクロム、0.5%のシリコン

 

等級430は、成形性、耐食性に優れ、実用的な機械的特性を備えています。クエン酸、硝酸、硫黄ガスに耐性があります。

 

この合金は、自動旋盤に使用しやすいように、通常は棒状になっています。また、ニッケルやモリブデンを含まないため、300系ステンレス鋼よりも安価です。

 

等級430は、主に砂糖産業用の倉庫や輸送装置、鉄道車両や道路車両、吸音材、コンテナ構築に使用されています。

オーステナイト系クロム・ニッケル合金

300系に分類されるオーステナイト系合金は、ステンレス鋼の中で最も使用頻度の高い種類です。クロムが16~30%、ニッケルが2~20%の割合で含まれています。他の合金鋼に比べてクロムとニッケルの含有量が多いため、耐食性と耐摩耗性に優れています。

 

非磁性の傾向がありますが、一部のオーステナイト系(組成によって異なります)は冷間加工後に磁性を帯びるものもあります。ここでは、オーステナイト系ステンレス鋼の代表的な品種の内訳をご紹介します。

 

10.等級301

等級301のシート

 

標準組成:17%のクロム、7%のニッケル

 

等級301は、焼きなましと各種の調質圧延の両方が可能です。成形、溶接、絞り加工に適しています。また、1421℃以下の温度では溶融しません。

 

等級301ステンレス鋼は、優れた耐食性と高い強度を持ち、幅広い用途に使用されています。一般的には、航空機の構造部品、自動車のホイールカバー、防風ドアの枠、ハイウェイトレーラーの部品、トースターのスプリング、コンベヤーベルト、屋根排水用製品などに使用されています。

 

9.等級302hq

等級302hqのワイヤー

 

標準組成:18%のクロム、9%のニッケル、2.5%の銅

 

ステンレス鋼製締め具の製造に広く使用されている特殊な線材です。銅の添加により、他の同種の合金鋼と比較して冷間加工硬化率が大幅に低下しています。

 

密度が8027kg/㎥の等級302hqは、優れた耐腐食性を備えています。常温で200mg/Lまでの塩化物を含む飲料水に耐性があります。硝酸にも耐性があり、硫酸にも適度に耐性がありますが、ハロゲン酸やハロゲン物質には耐性がありません。

 

302hq鋼は、軽い機械ねじや薄板用ねじの製造に標準的な金属です。また、一部のブラインドリベット、ボルト、止めねじの製造にも使用されます。

 

8.等級303

等級303の六角棒

 

標準組成:18%のクロム、9%のニッケル、0.5%の硫黄

 

機械加工性を向上させた「Ugima」とも呼ばれるステンレス鋼で、主に自動旋盤で広範囲の加工を行う製造工程で使用されます。

 

機械加工が可能なのは、組成に硫黄が含まれているからです。硫黄は加工性を向上させる一方で、耐食性や強靭性を若干低下させます。

 

等級303は、丸棒、角棒、六角棒の3種類があります。ねじ、歯車、シャフト、ナット、ボルト、航空機用付属品などの製造に最適です。

 

7.等級304

等級304のパイプ

 

標準組成:18%のクロム、9.5%のニッケル

 

等級304は、簡単に様々な形状に形成することができる最も人気のあるステンレス鋼です。機械的な故障が発生するまでに最大90ksiの圧力がかかる場合があります。

 

この等級は、大気環境やいくつかの腐食媒体に対して優れた耐性を持っていますが、高温(60℃以上)では応力腐食割れが発生し、温暖な塩化物環境では隙間腐食が発生します。

 

304ステンレス鋼の一般的な用途は、業務用の食品加工機器、配管、熱交換器、調理器具、および冷蔵庫や食器洗浄機などの家電製品です。

 

このステンレス鋼の低炭素版である等級304Lは、溶接後の焼きなましを必要とせず、主に重厚な部品に使用されます。高炭素版の等級304Hは、最適な高温強度を提供し、500℃から800℃の温度での構造的用途によく使用されます。

 

6.等級310

標準組成:25%のクロム、20%のニッケル

 

等級310は、シート、ストリップ、バー、ロッド、プレート、ワイヤー、チューブ、配管継手類など、様々な形状で提供されています。熱処理装置や炉の部品など、高温用途に特化しています。

 

この合金は、断続的な使用では1035℃、連続的な使用では1150℃までの温度で使用されます。代表的な用途としては、流動床式燃焼器、バーナー、燃焼室、耐火物のアンカーボルト、極低温構造物、食品加工機器などがあります。

 

5.等級316

標準組成:17.5%のクロム、11.5%のニッケル

 

等級316は、商業的には等級304に次いで2番目に普及しているステンレス鋼合金です。優れた成形性と溶接性に加えて、304よりも耐隙間腐食性が高いのが特徴です。また、薄片部の溶接では溶接後の焼きなましを必要としません。

 

等級316は船舶グレードのステンレス鋼とも呼ばれていますが、暖かい海水に対して完全に耐性があるわけではありません。いくつかの海洋環境では、表面腐食(通常、茶色のシミとして見える)が発生します。

 

等級316は、より優れた耐性を持つため、製薬機器、医療器具、ステンレス鋼フロート、業務用厨房機器などに好んで使用されています。

 

この合金の低炭素版である等級316Lは、粒界炭化物の析出(鋭敏化)が起こりません。そのため、主に重厚な溶接部品に使用されます。高炭素版の等級316Hは、高温での強度が高く、500℃以上の構造用途によく使用されます。

 

4.等級321

標準組成:18%のクロム、11%のニッケル

 

等級321はチタン安定化オーステナイト系ステンレス鋼で、強度が高く、ほとんどの酸化剤、硝酸、各種無機化学薬品に対して優れた耐食性を有しています。

 

熱処理では硬化できませんが、冷間加工により硬度と強度が大幅に向上し、延性が著しく低下します。

 

等級321は、高温の焼き戻し部品、自動車の大型排気システム、ボイラーケーシング、放射過熱器、防火壁、溶接圧力容器などに幅広く使用されています。

二相ステンレス鋼

二相ステンレス鋼は、フェライト系合金とオーステナ イト系合金の特徴を兼ね備えています。具体的には、フェライト系とオーステナイト系ステンレス鋼の結晶粒を含む二相の微細構造を持っています。

 

この鋼種にはいくつかの利点があります。二相鋼は、その高い降伏強度のために、通常のオーステナイト系またはフェライト系ステンレス鋼よりも頻繁に選択されます。さらに、二相鋼のより薄い部分を製造することができ、大幅な軽量化につながります。これにより、二相鋼は、圧力容器や構造用途に適した選択肢となっています。

 

3. LDX2101

二相鋼2101の管

 

標準組成:21.5%のクロム、1.5%のニッケル

 

LDX2101は、高強度と耐腐食性の有用な組み合わせです。ニッケル含有量が少なく、モリブデンもほとんど含まれていないため、等級304や316のステンレス鋼に代わるコスト効率の高い材料です。

 

LDX2101の耐食性は、等級316Lに匹敵し、304Lよりも優れています。さらに、標準的な300系ステンレス鋼よりも高い耐塩化物応力腐食割れ性と高い強度を有しています。

 

その類い稀で驚異的な特性により、経済的なコストで優れた耐食性と高強度を必要とするあらゆる構造物や圧力用途に使用されています。たとえば、廃水処理システムやバイオディーゼルおよびエタノールプラントの建設に広く使用されています。

 

2.等級2205

標準組成:22%のクロム、5.5%のニッケル

 

等級2205は、連続したフェライト相に囲まれたオーステナイトプールを含む、窒素強化二相ステンレス鋼です。クロム、窒素、およびモリブデンの組み合わせにより、この合金は塩化物の孔食【金属に発生する局部腐食の一種】や隙間腐食に耐性があります。

 

2205鋼は、シート、バー、プレート、溶接ワイヤー、チューブ、各種継手など、ほぼすべての形状で利用可能です。

 

主力の等級と呼ばれることもある2205は、二相鋼の中で最も広く使用されているステンレス鋼です。その耐腐食性と高強度は、海洋環境、閉ループ水システム、漂白作業、一部の食品加工用途などに適しています。

 

1. スーパー二相2507

等級2507の締め具

 

標準組成:25%のクロム、7%のニッケル

 

スーパー二相ステンレス鋼は、非常に高い強度と耐食性が要求される用途向けに設計されています。高い衝撃強度、優れた加工性、溶接性などの機械的特性を有しています。

 

厚みのあるニッケル合金と同じ設計強度を得るために、軽量の2507合金がよく使われます。これにより、全体の製造コストを大幅に削減することができます。

 

2507ステンレス鋼は、海水淡水化、石油・ガス生産、石油化学、海洋分野で広く使用されています。一般的な用途としては、貨物タンク、油圧配管、熱交換器、締め具、うず巻形ガスケット、貯蔵容器、昇降滑車装置などがあります。

よくある質問

最も安全なステンレス鋼はどれですか?

300系のステンレス鋼は、溶出のリスクが高まる酸性食品を調理しない限り、非常に安全です。調理器具に関しては、等級304と316が非常に人気です。どちらも耐久性があり、耐腐食性に優れています。

最も安価なステンレス鋼の等級はどれですか?

ステンレス鋼の中で最も安価なのは、クロムの含有量が少なく、ニッケルがほとんど含まれていない等級409です。腐食性が強くない環境での内外装部品に適しています。

ステンレス鋼はリサイクルできますか?

理論的には、すべての種類のステンレス鋼がリサイクル可能です。しかしながら、現実には、経済的に再利用できる総量にはいくつかの制限があります。

 

スチールは他の素材と比べて、地球上で最もリサイクルされている金属です。米国のSteel Recycling Instituteによると、1トンのリサイクルスチールは、1,150キログラムの鉄鉱石、650キログラムの石炭、50キログラムの石灰石を節約することができます。

 

現に、ステンレス鋼をリサイクルすることで、世界のオーステナイト系ステンレス鋼生産に使用されるエネルギーの約3分の1を節約することができます。理想的なシナリオとしては、すべてのステンレス鋼が100%リサイクルされたものであれば、鉄鋼生産に使用される世界のエネルギー消費量は半分になるでしょう。

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