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【Webマーケティング】マーケティング用語のUSPとUVPとは何か?

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読了時間 : 約3分35秒

USP(ユニークセリングプロポジション)という言葉をご存知でしょうか。

一言で表すと「独自のウリや強みの提供」のことで、1940年代にアメリカのマーケティングの世界で生まれた言葉です。日本のマーケティングの世界でこの言葉が戦略として使われ始めたのはここ20年ほどですが、いまやすっかり定着し、商品の販売戦略の中にあたり前のように組み込まれるようになりました。

今回は、そのUSPからさらに一歩踏み込んだマーケティング用語「UVP(ユニークバリュープロポジション/ユニークバリューフレーズ)」をご紹介します。

 

 

UVPとは何か?

UVPは2つの言葉の略語として使われています。

 

  • Unique Valuable Proposition (独自の価値の提供)
  • Unique Valuable Phrase (独自の価値を表すフレーズ)

 

Unique Valuable Proposition(独自の価値の提供)は、まさにUSPのさらに一歩先の価値観を表す言葉で、USPがUnique Selling Propositionで、独自のウリや強みであるのに対して、そのウリや強みが顧客にとって、どんな「価値をもたらすか」にまで言及しているのがUVPだと言えます。

一方、Unique Valuable Phraseは、USPを「価値あるフレーズ=優秀なキャッチコピー」にしたものと考えればいいでしょう。

具体例を交えて言葉の違いを確認してみましょう。

 

 

M&M’SのUSP戦略

「お口でとろけて、手でとけない」のキャッチフレーズで有名なM&M’Sのチョコレート。

ブレイクのきっかけは、南太平洋に展開していたアメリカ陸軍の兵士たちの要望だったといいます。当時軍が支給する食料の中に含まれていたチョコレートは、南太平洋の暑さですぐに溶けてしまい、甘いものを楽しみにしていた兵士たちをがっかりさせていたのです。

開発を担当したマース社のフォレスト・マースは、そのときすでに、スペインの戦場で兵士が食べていた砂糖でコーティングされたチョコレートに着想を得ており、後にM&M’Sのレシピを完成させました。

表面を砂糖菓子でコーティングすることで、気温が高くでもチョコレートが溶け出したり、チョコレートが溶けて脂肪分が白く分離・表出するブルーム現象が出たりせず、手もべたべたせずに食べられるチョコレートが出来上がったのです。すでにこのコンセプト自体が他を圧倒するUSP(独自のウリや強みの提供)でした。

 

1941年の開発当時はどんな環境にも持ち運べる便利で手軽な軽食として売られており、強力なUVP(独自の価値の提供)で、瞬く間に人気商品になったといいます。

1940年代後半にはアメリカ中で広く販売されるようになり、1954年に初めてTVコマーシャルが放映されました。このこCMが、UVP(独自の価値を表すフレーズ)の傑作「Melts in your mouth, not in your hands.(お口でとろけて、手でとけない)」が広く普及されるきっかけとなったのです。

 

1954年にはミルクチョコレートに次いでピーナッツが誕生し、その後もカラーを増やしたり、季節限定色を発売したりと、嗜好品としての実績を重ねながら、「遊びながら、勉強しながら、家事をしながら、仕事しながら、いつでもどこでも食べられるチョコレート」として、新たなUVP(独自の価値の提供)をウリに順調に売上げを伸ばしていきます。

 

その後、他メーカーが同じような機能を持つチョコレート製品を出すようになってからもUSP(独自のウリや強みの提供)の強さは発揮されており、現在もM&M’Sはアメリカ軍の補給物資の一つとして扱われているほか、1981年のスペースシャトル初打ち上げの際にも宇宙食として採用されています。

 

こうしてみると、誰にでも真似のできる「糖衣チョコレート」というUSP(独自のウリや強みの提供)を、どこよりも早く打ち出してプロモーションをおこしたこと、時代によって、UVP(独自の価値の提供)を変化させていったこと、UVP(独自の価値を表すフレーズ)の傑作を広く普及させ、人々の心に定着させたことなどが、現在のシェアを作り上げていることがわかります。

 

 

USPは決してオリジナルなコンセプトである必要はない

よく言われていることですが、USP(独自のウリや強みの提供)は、決してオリジナルなコンセプトである必要はないということです。ただし、それをどのようなUVP(独自の価値の提供と独自の価値を表すフレーズ)で売出していくかが肝心です。

 

よく例に出されるドミノピザのケースで見てみましょう。

ドミノピザのUVP(独自の価値を表すフレーズ)は下記のフレーズです。

 

「You get fresh, hot pizza delivered to your door in 30 minutes or less - or it’s free!

(焼きたての熱いピザを、玄関まで30分以内にお届けします。それ以上待たせたら、無料に致します!)」

 

デリバリーものが注文から概ね30分以内で届けられるということ自体は珍しくありませんし、業界、ユーザー双方の認識も一致していると思います。ところが、どんなことにも例外があり、たまたま交通渋滞が発生した、たまたま注文が殺到したということも起こります。その例外が起きて時間が超過した場合は、お代をいただきません、と明言したのがドミノピザだったということです。

この明言すること自体がUSP(独自のウリや強みの提供)であり、この明言によって、ユーザーは「30分以内にピザが食べられる」というメリットと、「仮に待たされても、ただでピザが食べられる」というメリットのどちらかを手に入れいることができることを確約されているのです。つまり、これがUVP(独自の価値の提供)となります。

 

 

まとめ

自社の商品やサービスのUSP(独自のウリや強みの提供)を戦略として打ち立てようとするとき、それが、UVP(独自の価値の提供と独自の価値を表すフレーズ)に落とし込むことができるかを同時に考えます。それができれば、USP(独自のウリや強みの提供)は成功する可能性が高いし、逆であれば、再考が必要でしょう。

 

 

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