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限界に挑戦! マイナス43℃まで凍らない水

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本記事は、Coldest Liquid Water Ever Recorded | Below -43°C
翻訳・再構成したものです。
配信元または著者の許可を得て配信しています。

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読了時間 : 約2分32秒

・水を凍らせずに最小228ケルビン【温度の単位】まで冷却する技術が開発された。
・水滴が小さければ小さいほど、液相の状態で冷たくすることができる。
・レーザーパルスを使って液滴の大きさをモニターし、散乱光における共鳴ピークの位置を測定した。

 

水の凝固点が0℃であることは誰でも知っていますが、それは(液体の状態で)最も冷たいわけではありません。最近、研究者たちが新しい方法論を開発し、液体の水についてこれまでで最も低い温度を測定しました。

 

ある科学者チームは、液体の水を228ケルビン(-45.15℃)まで、また別のチームは230ケルビン(-43.15℃)まで冷却することに成功しました。これは、多くの科学的な理由と、水が神秘的なものであって私たちが住む地球を理解する上で非常に重要であるということから、とても画期的です。また、学校で習った物理の法則にいつも従っているわけではないということです。

 

水には変則的な性質があり、気温が最低になるとさらに風変りな性質になります。ある条件下では0℃以下でも凍らないこともあるのです。研究者たちは、最新の知見でこれらのシナリオのいくつかを実証しました。

 

冷却条件

温度は、分子の集合の平均運動エネルギーに依存しています。運動量が少ないほど、温度は低くなります。実際には、分子が結晶を作り始めるかどうか(凍結するかどうか)は、他の多くの要因に依存します。結晶を作るには核が必要で、その核が近くの分子を引きつけ始めます。0℃以下では、水は結晶であることを選ぶのです。

 

ところが、研究者たちは、水の結晶化を防ぐ新しい技術を開発しました。これは、水滴の直径から温度を測定するものです。

 

両チームとも、非常に小さな水滴を真空中に噴射して、独自の「過冷却水」【凝固点以下の液体】を作りました。小さな水滴は、他の粒子と結晶化しにくいのです。水滴が小さければ小さいほど、液相の状態でより冷たくすることができます。

 

水滴をさらに細かく分割することで、より多くの液滴が真空にさらされ、並外れた真空冷却が行われます。圧力を下げると、粒子(表面の)が急速に蒸発し、水滴から熱が奪われ、水滴の温度が急激に下がります。この水滴の温度を測定すると、驚くほど低い温度を記録するのです。

 

実験の設定

実験の設定は簡単ではありませんでした。両チームとも、真空容器にミクロン【1ミクロンは1メートルの100万分の1】の小さな水滴を噴射しました。液状の水滴の一部は移動しながら蒸発し、残った部分は冷却されて水滴が収縮します。したがって、水滴の直径を観察することで、冷却の度合いを測定することができました。

 

液滴の大きさを10ナノメートル【1ナノメートルは1メートルの10億分の1】の精度でモニターし、散乱光の共振ピークの位置を測定するために、レーザーパルスを使用しました。また、液滴がノズルから離れるときに大きさ(直径)がどのように変化するかを解析することで、液滴の温度を正確に測定することに成功しました。

2つの液相

液体の水を-45.15℃まで冷却した研究チームは、奇妙なことに気づきました。過冷却水は、密度の異なる2つの相で同時に存在することができるのです。これは、水滴の中でいくつかの水分子がつながって積み重なっている塊に依存しています。

 

研究者たちは、純粋な液状の水滴の回折パターンを調べて、その圧縮率が温度によってどのように変化するかを計算しました。圧縮率は-44℃で最大となりました。

 

流体が低密度相と高密度相の間で変動する平衡状態にあるとき、流体はぐにゃぐにゃになります。これは、低密度相から高密度相に変化する物質が、圧力の上昇に対応できるからです。研究チームによると、圧縮性は主に交さ点付近で発生し、液体水は低密度と高密度の局所構造をほぼ等しい割合で含んでいることがわかりました。

 

「液-液臨界点」と比較した圧力差による最大圧縮率

 

次の課題は?

水は地球上で最も重要な液体であるにもかかわらず、不可解な物質で、他の液体とは異なる性質を持っています。液体の水が特定のシナリオのもとでどれだけ冷たくなるのか、まだ正確にはわかっていないのです。

 

過冷却の水滴は、地球の上層大気圏で自然に発生します。水の性質を知ることで、大気の氷の形成に関する理解が深まり、より信頼性の高い雲モデルを構築できるかもしれません。今のところ、次の大きな課題は、温度と圧力の観点から臨界の場所を見つけることです。

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