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保護中: 【独自取材】フードデリバリー業界の新星menuに迫る!後発組こそできることを探し求めてー
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全国に拡大中の今注目のフードデリバリーサービスmenu株式会社 プロモーション本部部長 山敷真(やましきまこと)様へお話を伺いました。

[画像:menu株式会社 プロモーション本部部長 山敷真(やましきまこと)様]
以下、「山敷さん」と記述
インタビューもくじ

―プレスリリースを拝見していると、インフルエンサーや著名人とコラボしたリ、テイクアウト時に#SafeHandFishというプロジェクトを「肉汁餃子のダンダン」さんとやられていたり、グルメサイト「Retty」と連携したサービスを始められたりと、「面白い企画」が印象的です。企画については定期的に打ち出す工夫をされているのでしょうか?
山敷さん:私たちがデリバリーサービスを始めたのは2020年4月からで、いわば後発のサービスにあたります。先行しているUberEatsさんや出前館さんなどがいるなかでいかにして認知を拡大していくかっていうのがあって、新しいチャレンジには積極的に取り組んでいます。なので定期的というよりは、チャンスがあればすぐに…という感じです。#SafeHandFishさんなんかは例えば別でリリースを出されていたので、すぐに連絡して、何かご一緒出来ないですかねといったところから繋がりましたし、今回のようにアンティルさん(PR会社さん)から案件をご紹介いただいたりといったのもその一つですね。
―様々な取り組みを拝見していて、グルメサイトとの連携も面白いなと思ったんですが、広げていく見込みなどはあるのでしょうか?
山敷さん:はい、そう思っています。Rettyさんのあとにも「SARAH」さんとの連携を発表させていただいたりしてますし。グルメサイトを見ていて「おいしそうだな」と思った時にすぐ頼める状態になっているとユーザーの利便性が増しますよね。お店側にとっても注文が増えますし、つまりはWin-Winになるかなと考えています。
―おいしそうなのがすぐにデリバリーで頼めるっていう流れでしょうか?
山敷さん:店舗詳細の下に「メニューを見てこれを注文」というボタンを出してもらっていて、気になったお店があるとすぐ頼めるという形で提携をしています。
―確かにすぐ頼めてすぐ食べられるって大きいです。行かないとわからないとか、事前に予約しないとっていうのも多いですしね。
山敷さん:そうですね、結構そういった形で新しいチャレンジをしてこうと思っています。もちろんだんだんと大きくなっている市場ではあると思うんですけど、まだまだ本来的には応えるべきニーズがあると思っていて。グルメサイトでそのまま頼めるといいよねっていうのもそうですけど、#SafeHandFishさんとの取り組みで言えば除菌への意識の高まりに対して安心感を担保したいっていう背景がありますし…。既存のことだけじゃなく広げていけたらと、いろんな会社さんと組んでいる最中です。
インフルエンサーさんで言うと…私たちはもともとは「食」サービスやっていない会社なんです。ずっと飲食業界に携わっていたわけでない分、その業界に詳しい方、フォーリンデブはっしーさんのようなインフルエンサー、飲食店を経営されていた方、食の安全の専門家の方など、様々な方とご一緒することでサービスの品質を担保していきたいと考えています。
―一番はじめにオードリーの春日さんを起用してプロモーションかけられていたと思うんですが、反応は大きかったですか?
山敷さん:そうですね、4~5月に流したCMはユーザーさんというより飲食店さまに向けたもので、「手数料無料なので加盟してください」っていう内容だったんですけど…すごい反響で、1か月で1万5,000件くらいの申し込みがあって。申し込みから契約のフローに関わる部隊を急遽増員して対応することになりました。
オードリー(若林正恭・春日俊彰)×menu(メニュー)CM(YOUTUBE動画)

オードリー(若林正恭・春日俊彰)×menu(メニュー)
―テイクアウトサービスというと、これまでは使用したレストランの持ち帰りサービス(家族用)や、ファストフードをイメージします。現在では、配送料もあるためお店に足を運ぶが、テイクアウト対応してもらって【コロナ対策】【時間の節約】を求めるユーザーは多いのでしょうか?
山敷さん:一番そこ(コロナ対策や時間の節約によるテイクアウト需要)が大きいとは思っています。もともとコロナになる前のテイクアウトのメインユーザーでいうと、弊社の対応エリアの関係もあり、オフィスワーカーの方たちが結構多くて。忙しくて時間は無いけど、コンビニごはんだけでは飽きちゃうみたいな人たちですよね。そういった方々がちょっとおいしいものが食べたいと、オフィスの近くに取りに行くご利用方法が多かったわけで。
―確かに時間の節約っていう需要は高そうですね。
山敷さん:まさにそうで、行って並んで、注文して、できるまで待たせてもらって持ち帰る…それだけでだいたい30分はかかってしまうので。
―店側にとってもメリット大きいですよね?並ばれたり待たれたり…
山敷さん:それこそ電話で受け付けられている店舗さんも多かったんですけど、電話対応にそもそも時間を取られてしまいますし。あと一番大きいのはレジで会計をするっていうのがなくなるところかなと。
―そういう意味では店側からすると、コストの削減につながる…。
山敷さん:もともと効率性っていうところは狙いにあったんですけど、コロナによってよりニーズが広がってきたところはあるかなと思っています。やっぱり店で食べづらいっていう側面が今はあるので、そういう方々は家で食べると。そうなったときに、これまでお店さんに頼むのは忙しい日だけだったのが普段も頼むようになってきて、それを続けているうちにもっといろんな料理を食べたいってなる…。だんだん市場・ニーズが広がってきた分、求められることが多くなってきたなと実感しています。
―デリバリーとテイクアウトでいうと、使い分けされている方が多いのか、どちらかだけなのか、どういった印象でしょうか?
山敷さん:併用されているケースが多いかなとは思います。現状はデリバリーだと対応エリアが限られているのもあるとは思いますが、例えば勤め先が首都圏にあって、その近辺のおいしいものは買って帰るとか。デリバリーだと家にいた時に家の近くのものを頼むっていうイメージでしょうか。
―そうやって新しいお店を発見できるっていうのは面白いですよね。
山敷さん:デリバリーサービスのクーポンを配布させていただいたり、あとは「メニューパス」という月額980円で配達料無料や商品割引を受けられるサービスを始めたんですけど、そうしたところから利用が広がっていくと面白いですね。

menu(メニュー)「menu pass/メニューパス」月額980円で配達料無料や商品割引を受けられるサービス
―「メニューパス」の話が出たんですが、利用料が定額で担保されていると、やはり利用のしやすさは変わる印象でしょうか?
山敷さん:そうですね、かつテイクアウトとデリバリーで金額さえ変わらなければ持ってきてもらった方がいいやとデリバリーを頼まれる方もいて、デリバリーの利用が伸びていくきっかけになっていますね。
―利用されている年齢層とか性別とかはどういったところが多いでしょうか?
山敷さん:ヒアリングベースの感触にはなりますが、若いご夫婦が多いですね。ただ注文数が多い方で言うと、20代後半~30代くらいの若い男性ビジネスマンになってくるかと思います。menuって他のサービスには掲載されてない街の個店さん(チェーン展開していない個人のお店)が入っていて、ちょっとおいしいものを食べたいとか、グルメ志向が強い方、多少お金をかけてでも自分が食べたいものを…っていうにユーザーが寄ってきている印象はあります。
―個店さんっていうのは、地域に根付いていたり有名なお店だったりするのでしょうか?
山敷さん:そうですね、四谷に私たちのオフィスがあるんですけど、その辺ですと「かつれつ四谷たけだ」さんという非常に有名なお店があって。そこにはサービスの立ち上げ当初から加盟していただいています。
―あちらから申し込みが来るだけではなく、menuさんから店舗に登録を促すのでしょうか?
山敷さん:インバウンドの申し込みだけではなく、各地域で店舗様に加盟してもらえるように営業活動は行っています。それこそ今だと福岡エリアでTVCMを打っているんですけど、その前に営業部隊が店舗さん回らせてもらったりしましたね。

Instagramを拝見していると、素敵なお料理と写真がズラリと並んでいます。また、他のデリバリーサービスと比べて、リポストに頼らず毎日更新されているのが印象的です。広告宣伝は、オードリーさんのCMは勿論インパクトがあったのですが、力を入れておられる分野とそれぞれの意図について教えていただけますか?
山敷さん:SNSには確かに力を入れています。というのも、サービスを立ち上げて間もないので、利用者の方の声を聞いておきたいという意図が強いです。SNSだと色んな声が聞こえるじゃないですか、こんな機能があったらいいなとか、こんなお店が欲しいなとか…時々「頼んだものが届かなかった」なんていうのもありますし。そういう声にちゃんと対応していって、サービスを良くしていく。現状のサービスが完成形だと思っていないですからね。
Twitter・Instagramは毎日更新していますし、いただける声をサービスに反映していることも実際多いですよ。
―SNSの声でニーズがありそうだなと感じられているもので、実際考えられている新しい機能とかってありますでしょうか?
山敷さん:7月に始めた「メニューパス」のサービスは、それこそ配達料が気になって頼めないという声が多かったことからです。配達料なくしてくださいって声が実際あったりもしましたしね。今は使っている人が結構多いですよ。頼みやすさはあるみたいです。配達料かかってた時って「失敗したら嫌だな」ってなりがちですけど、その障壁が取っ払われて日常的に使用するようになるといろいろなお店を試すチャレンジをしやすくなるのかなと感じています。
―他社様との違いという観点で、ユーザーさんにはどういうシーンでmenuを使ってほしいとかありますか?
山敷さん:利用シーンについては一緒になってしまうかなと思いますが、一番の差でいうと加盟いただいているお店のラインナップだと思っています。全国で36,000店舗って、実は他社様に比べてあまり変わらない数値で。
かつ、36,000店舗といっても他社さんはチェーン店も多いのが実情ですが、弊社の多くは個店さん。つまり他には載ってないお店が多いですし、グルメガイドで星を獲得している有名店やグルメサイトでも話題の人気店を掲載した「至高の銘店」っていうコーナーも東京と大阪で提供しています。
―選ぶときに迷うことが多いですから、確かにそういう、おすすめじゃないですけどあるといいかもしれないですね。
山敷さん:あとは使ってもらいやすいように…クーポンを配るというもあったんですけど、他にも「メニューパス」しかり、後発サービスだからこそmenuを使っていただくことで一番お得になるように設計しています。例えば友達紹介とかも一番お得に設定していますし。「メニューパス」も圧倒的なお得を作って、まずは使ってもらうことを大事にしています。
―その辺がmenuの良さなんですかね。
山敷さん:使ってみてわかることですからね。
―先ほど友達紹介の話がありましたが、力を入れてらっしゃるんですね。
山敷さん:友達招待の利用は一定の割合でいらっしゃって。だからこそ、ユーザーさんにとって一番メリットがあるようにしています。menuの友達招待は2,000円分のクーポンがもらえるんです。ちなみに2,000円っていうのは1,000円クーポンを2回。2回くらい使っていただくと良さがわかるかな、っていう考えで設定しています。

―今後、より一層力を入れていくご予定のコンテンツやサービス、あるいは取り組まれる課題はございますか?
山敷さん:コンテンツで言うと、私たちのコンテンツは店舗さんなので、そこの拡充をしようというラインナップ面もそうですし、加盟していただいているお店さんへ「デリバリー用にこんな商品を作ったらどうでしょう」というコンサル…というとおこがましいですが、提案ができたらいいなと。あとはせっかくの料理も包材が残念で体験が損なわれることも多いので、そこもうまく提案していきたいですね。
というのも、デリバリーはまだまだ黎明期と捉えています。UberEatsさんが決算で出されていたのですが、注文金額は前年同期比5倍に伸びてると。確かに弊社も4月に始めて一気に伸びていて。
新しくデリバリーを始める店舗さんも増えているところですが、デリバリーのノウハウがない店舗さんもいらっしゃって、そこはサポートさせていただいています。
―店舗さんにとってmenuを使うメリットはどこにありますか?
山敷さん:何よりまず送客ができること、店舗さん自身が新たに始めなくても顧客が開拓ができることですよね。
それと私たちのスタンスとして、あくまで寄り添いながら…「デリバリー包材だったらこれがいいですよ」みたいにしていきたいです。ユーザーさんの声を聞きながらもそうですが、店舗さんの声も聴きながら機能を作っていく感じにしたいんです。
その例でいくと、「至高の銘店」は予約制(2日前までに予約)にしているんですけど、これは店舗さんが事前に食材を揃えられるようにしたいという声を反映したもので。こうした仕組みもお店さんの声で始まっているんです。
―他にはありますか?
山敷さん:あとはテイクアウトの手数料を無料にさせていただいています。初期費用だったり手数料だったりがかかってしまうと、始めるにあたって「売り上げも上がるかもわからないし」と躊躇されがちですよね。でも無料だったら始めてみようかな、と思っていただけるので。
―そうしたところにも他社様との違いがあるんでしょうか?
山敷さん:他社さんだとキャンペーン的に無料にしている場合を除き、手数料で10~12%くらいとられてるので。かつ、弊社は2022年の3月までを無料期間にしています。2年間ですね。
実は手数料を無料にする判断をしたのがコロナ禍の4月のタイミングで。やっぱり飲食店の経営ってそこでかなり打撃を受けていて、仮に「3か月無料」とか言われてもなかなか見通しは立てづらいかなと考えて、2年間無料にしようっていう決断に至りました。
―テイクアウトとデリバリー、どちらかを選んでもらっているんでしょうか?
山敷さん:基本は対応していただくことを推奨しております。テイクアウトは今47都道府県、全国対応していて、沖縄でもテイクアウトのお店さんがあるくらいです。
―今後エリアは拡大しますか?
山敷さん:想いとしてはいち早く日本全国に!お届けしたいです。結構なスピード感で展開してきましたが、これをもっと加速したいです。
―北陸とか北海道などの雪国などでは対応を考えていますか?
山敷さん:車が必須になるかなと。これに当たっては他社や行政との連携が必要かもしれません。
実際に熊本では行政と連携した取り組みをしていたんですけど、その時はタクシーデリバリーでした。その時の状況として、コロナの影響により観光業への需要が少なくなってしまって、タクシー業者さんも経営が厳しくなってきたとのことだったので。各行政と一緒にやっていくのはこれからも検討していきたいですね。
他には墨田区商店連合会さまと事業提携を行い、あらゆる手数料―店舗には加盟手数料を、お客さんには配達料を…―を無料にして地域活性のために導入したんですよ。私たちも加盟店舗さんがあって、届けてくれるクルーがいて、利用してくれる方がいれば始められますからね。お店さんとしては売り上げを伸ばしたくて、アルバイトの方は働き口を探していて、お客さんとしてはお店に買いに行きにくくなって…と、このニーズって行政の方や地域団体の方と話すと合致することが多いんです。
山敷様、お忙しいところインタビューに応じてくださりありがとうございました。
インタビュー 2020年11月