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水処理のイノベーション!新しい濾過技術「液体ゲート膜」で廃水浄化を強化し、エネルギー効率を高める

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本記事は、New Filtration Technology Enhances Wastewater Purification, Makes It Energy-Efficient
翻訳・再構成したものです。
配信元または著者の許可を得て配信しています。

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読了時間 : 約1分55秒

・新しいタイプの膜は、通常の膜よりもはるかに低い圧力で水中の浮遊粒子を濾過[ろか]することができる。
・従来の透過膜に比べ、3倍長持ちし、2倍の省エネとなる。

 

浄水技術は、バクテリア、菌類、ウイルス、藻類、寄生虫、浮遊粒子などの特定の物質の濃度を低下させます。物理的、生物学的、化学的なプロセスがいくつかあるほか、ここ数十年の間は、紫外線のような電磁放射を利用して水を浄化してきました。

 

飲料用、化学・工業用を問わず、水の濾過・処理プロセスは、米国における総電力消費量の13%近くを占め、年間2億9,000万トンの二酸化炭素を大気中に放出しています。これは世界の全人類の体重を合わせた量に相当します。

 

水を浄化するには、通常、小さな孔の開いた膜を通します。この孔のサイズは、水分子よりも大きな不純物や粒子を濾過するのに十分なほど小さくなっています。これらの膜は目詰まりによって機能が低下する傾向があるため、水分子を押し出すために高い電圧が必要となり、目詰まりした膜を頻繁に交換する必要があり、水処理のコストが増加します。

 

このたび、ハーバード大学の研究チームが、従来の膜よりもはるかに低い圧力で水中の浮遊粒子を濾過できる新しいタイプの膜を開発しました。これは、「液体ゲート膜」(LGM:liquid-gated membranesの略)と呼ばれます。LGMは既存の膜に比べ、2倍の効率(エネルギー消費量)を持ち、3倍長持ちします。

 

LGMは、ガスや石油の掘削を含む大規模な産業プロセスの電力消費とコストを削減し、幅広い水処理環境で使用することができるものです。

 

どのように機能するのか?

すべてのLGMは、可逆的なゲートとして機能する特殊な液体でコーティングされており、「閉じた」状態で孔を満たして密閉します。水を濾過するために圧力をかけると、膜の孔内の液体は末端に向かって引きずられ、開いた孔が形成され、特定の気体や液体を通すように構成することができます。

 

これにより、液体の滑りやすい表面による膜の機能低下を防ぐことができます。また、LGMは異なる液体混合物から目的の物質を分離することができるため、工業的な液体処理に使用することが可能です。

 

標準膜とゲート膜の膜透過圧(TMP)の比較(右下の圧力計)による、両システムの機能低下に対する反応
出典:ハーバード大学

 

LGMを作るために、研究チームは、従来のフィルター膜の小さな円盤(25ミリ)に、30年以上も航空業界で使われてきた特殊な液体潤滑剤、パーフルオロポリエーテルを注入しました。

 

試験と応用

研究チームは、ベントナイト粘土を水に混ぜ、適切な圧力をかけてLGMの孔に通しました。その後、その結果を従来の膜と比較しました。

 

LGMは、従来の膜よりもはるかに遅れて機能低下の兆候を示しました。膜に堆積した物質を手作業で除去する工程が必要になる前に、未処理の膜よりも3倍長く効果的に水を濾過することができたのです。また、濾過中に膜に集まるナノクレイが60%減少しました。

 

LGMは、濾過を開始するために必要とする圧力を16%削減し、より多くのエネルギーを節約できます。これにより、繊維、石油化学、バイオ医薬品製造、食品・飲料加工など、様々な産業で使用される水処理機構の濾過率を高めることができるでしょう。

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