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蛍光顕微鏡の進歩に貢献!酸素を必要としない新しい「光るタンパク質」を作成

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本記事は、Researchers Create A Unique Protein That Glows
翻訳・再構成したものです。
配信元または著者の許可を得て配信しています。

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読了時間 : 約1分54秒

・科学者らが、蛍光顕微鏡を進歩させる新しい「光るタンパク質」を作成した。
・他の緑色蛍光タンパク質とは異なり、小型で耐熱性があり(68℃まで)、発光に酸素を必要としない。

 

1960年代に緑色蛍光タンパク質が発見され、細胞生物学と分子生物学の新しい時代が始まりました。この発見により、科学者たちは分子クローニング技術を応用し、光学顕微鏡を使って生物の細胞プロセスをモニターできるようになりました。

 

このたび、モスクワ物理工科大学(MIPT)が率いる生物物理学者の国際チームが、既存のものとは全く異なる新しい蛍光タンパク質を設計しました。青色光や紫外線に当たると光るほか、非常に小さく、高温下でも安定です。

 

この新しい「光るタンパク質」は、微生物のような小さな標本の特定の特徴を画像化するためによく使われる蛍光顕微鏡を進歩させることができます。この技術はまた、細胞内の遺伝物質を画像化し、感染症や臓器の発達などを研究するためにも使われます。

 

蛍光顕微鏡は、試料中の蛍光種を励起するために、従来の顕微鏡よりもはるかに高強度の光源を使用します。特定の波長のレーザーを照射すると、蛍光種は異なる波長で発光します。

 

この誘導された「輝き」を蛍光顕微鏡で分析します。これらの蛍光タンパク質は、[遺伝子工学を通じて]他のタンパク質に付加され、他のタンパク質の細胞挙動を観察します。

 

この技術は非常に価値があることが証明され、2014年のノーベル化学賞は、蛍光顕微鏡の精度を根本的に向上させたことに対して授与されました。それは光学顕微鏡をナノの次元へと導いたのです。

 

蛍光タンパク質を作り出すために遺伝子改変されたバクテリア
出典:MIPT

 

それでも、このような観察に使われる蛍光タンパク質には様々な欠点があります。かなりかさばるし、熱に弱く、酸素の存在下でしか光らないのです。

 

耐熱性フラビン系蛍光タンパク質

新たに開発された蛍光タンパク質は、これらの欠点をすべて克服しています。小型で、耐熱性があり(68℃まで)、発光に酸素を必要としません。

 

研究チームは、41℃~122℃の高温で増殖する生物である好熱菌の細胞から、この優れた特性を持つタンパク質を発見しました。そして、このタンパク質の蛍光成分を再現するDNA配列を遺伝子工学的に操作しました(分子を大きくする他の部分については除外)。

 

新しい「光る」タンパク質の立体構造
出典:MIPT

 

研究チームは最後に、このタンパク質をコードする遺伝子を別のバクテリアの細胞に加え、ユニークな特性を持つ蛍光タンパク質に変えました。

 

全体として、この「光る」タンパク質は、その結晶化のしやすさと予想外の安定性から、植物、バクテリア、菌類の超高分解能構造研究の有望なモデルであると考えられます。このタンパク質は、科学者が細胞の生と死から貴重なデータを抽出するのに役立つでしょう。

 

この新しいタンパク質は、共焦点顕微鏡や広視野蛍光顕微鏡の最近の進歩と組み合わせれば、何千ものライブセルイメージング【細胞を生きた状態で、個々あるいは集団の細胞の動きや形態の変化、また、遺伝子やタンパク質の発現などを可視化して外部から観察する手法】実験に計り知れない貢献をすることができるのです。

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