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「弦理論」とはどんな理論?宇宙に存在する全ての力を統一的に説明できるのか?

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本記事は、What Is String Theory? A Simple Overview
翻訳・再構成したものです。
配信元または著者の許可を得て配信しています。

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読了時間 : 約5分49秒

・弦理論とは、「素粒子【物を構成する一番小さい単位】は、特定のパターンで振動する小さな弦(ひも)でできている」とする理論である。
・それぞれの振動パターンは、異なる粒子に対応している。
・「電子」はあるパターンで振動する弦にすぎず、「陽子」は別のパターンで振動する弦である。
・あくまで数学的な概念であり、実験的に証明されたものはない。

 

自然界には、重力、電磁気力、弱い核力、強い核力という4つの基本的な力が存在します。物理学者の主な目標のひとつは、これらの力をすべて説明できる理論を開発することです。

 

理論物理学者は、すべての力を1つに統合しようとしながら、過去60年の間に様々な興味深いアイデアや新しい理論を打ち出してきました。その中でも最も有望な理論のひとつが「弦理論」です【ひも理論、ストリング理論とも呼ばれる】。

 

弦理論は、20世紀の物理学の2つの柱、すなわち、「アインシュタインの相対性理論」と「量子力学」を統合することを目的とした、物理学における現在最も議論を呼んでいる概念です。簡単に言えば、物理的な現実のすべてを説明できる包括的な枠組みです(真実が証明されれば)。

 

弦理論の基本的な考え方

身の回りのものをどれか取り上げてみましょう。例えば、テーブルの上にあるリンゴを手に取ったとします。そのリンゴは何からできているのでしょうか?この問いに答えるには、リンゴの内部を観察する必要があります。

 

拡大してみると、やがて分子が見えてきます。しかし、それで終わりではなく、さらに拡大して十分に大きくすると、原子が見えてきます。

 

原子をさらに拡大すると、電子と原子核が見えてきます。原子核は、陽子と中性子でできています。そのうちのひとつ(例えば、中性子)を拡大してみると、中にはさらにクォーク【物質の基礎単位であると考えられている理論上の粒子】と呼ばれる小さな粒子があることがわかります。

 

従来の考え方はここで終わりですが、このごく小さな粒子の中に何か別のものがあるのではないか、ということで弦理論が登場するのです。

 

従来の考え方では、クォークの内部には何もないとされていましたが、弦理論では、小さな弦のようなエネルギーのフィラメント【繊維状のもの】を見つけることができるとされています。それはバイオリンの弦に似ています。バイオリンの弦を弾くと振動して小さな音符が生まれます。

 

しかし、弦理論に登場する小さな弦は、音を奏でることはありません。その代わり、弦が振動すると、粒子そのものが発生するのです。それぞれの種類の振動は、異なる粒子に対応します。

 

あるパターンで振動する弦のイメージ図

【実際の画像は翻訳元記事をご覧ください】

 

したがって、クォークはあるパターンで振動している弦にすぎず、電子は別のパターンで振動している弦にすぎません。つまり、これらの粒子をすべて元に戻すと、リンゴは弦の振動の束に過ぎないのです。

 

もし弦理論が正しければ(まだ証明されていませんが)、宇宙のすべてのものは、弦の振動する宇宙シンフォニーのダンスに他なりません。

 

弦理論の5つの基本要素

1. 余剰次元

今のところ、弦理論は単なる考え方に過ぎません。それが本質を正しく説明しているという直接的な実験的証拠もありません。

 

弦理論においては、宇宙に余剰次元が存在することを認めなければなりません。私たちは現在、3次元の空間的な次元に住んでいますが、弦理論が意味をなすためには、4次元の共通次元(3次元+時間的な次元)に加えて、6つの高次元の存在を必要とします。

 

2. 超対称性

宇宙には、ボソン【ボーズ粒子】とフェルミオン【フェルミ粒子】の2つの基本的な素粒子が存在します。弦理論では、この2つの粒子の間に超対称性と呼ばれる関係が存在することを予測しています。この関係では、すべてのフェルミオンに対してボソンが存在し、その逆もまた然りです。

 

超対称性の原理は、弦理論の外で発見されたものです。しかし、超対称性の原理を弦理論に組み込むことで、方程式の特定の項が相殺され、意味を持つようになります。この原理がなければ、弦理論の方程式は、架空のエネルギーレベルや無限の値といった物理的な矛盾を引き起こすことになります。

 

言い換えれば、超対称性の考え方と弦理論を組み合わせることで、より優れた理論である超弦理論が生まれるのです。物理学者は、粒子加速器の実験や天体観測によって、超対称性粒子がいくつか発見され、弦理論の理論的枠組みの裏付けになることを期待しています。

 

3. 力の統一

現代物理学には、一般相対性理論と量子力学という全く異なる2つの法則があります。相対性理論は惑星や銀河、宇宙といったスケールの大きな物体を研究し、量子力学は原子や素粒子のエネルギーレベルという最小のスケールで自然界の小さな物体を研究する傾向があります。

 

重力が微小な粒子にどのような影響を与えるかは、よくわかっていません。量子力学の原理に従って重力を説明しようとする理論は、量子重力理論と呼ばれ、その中でも最も有望視されているのが弦理論です。

 

4. 開いた弦と閉じた弦

Type Iの弦の5つの基本的な相互作用

 

弦理論における弦には、「開いた弦」と「閉じた弦」の2つの形があります。2つの開いた弦は両端で結合し、閉じた弦を形成することができます。また、いくつかの開いた弦が一端を結合して、新しい開いた弦を形成することもできます。

 

このような弦はType I の弦と呼ばれ、5種類の基本的な相互作用を経ることができます。これらの相互作用は、弦の端が結合したり離れたりする能力に依存します。

 

科学者たちは、閉じた弦には、量子力学で重力を説明できる特別な属性があると信じています。

 

弦の特徴的な長さのスケールは、10のマイナス35乗メートル程度、つまりプランク長であると考えられています。これは、量子重力の効果が顕著になるスケールです。

 

5. M理論

M理論、超弦理論、11次元超重力との関係
画像出典:Wikimedia

 

時が経つにつれて、科学者たちは5つの異なるバージョンの超弦理論を思いつきましたた: Type I、Type IIA、Type IIIB、そしてヘテロティック弦理論の2つのバージョンです。

 

しかし1995年、アメリカの理論物理学者エドワード・ウィッテンは、5つの理論すべてをM理論という11次元の理論に統一しました。この理論は、宇宙におけるすべての基本的な力に関する統一理論を構築するための枠組みを提供するものであると考えられています。

 

弦理論は誰が発見したのか?

弦理論は、1943年にヴェルナー・ハイゼンベルク【ドイツの理論物理学者】によって始められた研究プログラムであるS行列理論に由来します。このプログラムの目的は、素粒子物理学の基本原理として、局所的な場の量子論に取って代わるものでした。

 

1950年代から60年代にかけての粒子加速器は、ハドロンを大量に生成しました。この強く相互作用する粒子(クォークで構成される)のスピンと質量のパターンを説明するために、物理学者たちは様々なモデルを考案しました。

 

イタリアの理論物理学者、ガブリエーレ・ヴェネチアーノは、これらの初期のモデルの発展に大きな役割を果たしました。1968年に、ごく小さな弦がハドロンの相互作用を説明できることを発見し、弦理論の基礎を築いたのです。

 

また、1991年には、弦理論からインフレーション宇宙論モデルがどのように得られるかを説明した論文を発表しています。

 

昨今では、多くの研究者の努力によって、弦理論は純粋数学、宇宙論、物性物理学、量子重力に関連する広範で多様なトピックに発展しています。

 

弦理論は「万物の理論」なのか?

手っ取り早い答えは「No」です。

 

万物の理論とは、宇宙のあらゆる物理的側面を完全に説明し、結びつける物理学の仮説的な枠組みのことです。そのような理論を見つけることは、理論物理学者たちの大きな夢です。

 

この目標を達成するために、弦理論は万物の理論の有力な候補となりました。これまで、量子力学と一般相対性理論の両方を必要とするブラックホールなど、多くの複雑な現象を説明することに成功しています。

 

弦理論によれば、宇宙の始まり、つまりビッグバンから10のマイナス43乗秒後までは、4つの基本的な力がすべて1つの基本的な力であったとされています。

 

また、クォーク・グルーオンプラズマ【ビックバンから数10マイクロ秒後の宇宙初期に存在したと考えられる「素粒子の火の玉」】に関する新たな知見を提供し、多くの結果を生み出していますが、その中には、理解しがたい、あるいは不合理と思われるようなものもあるかもしれません。例えば、弦理論では、約10500の宇宙、つまり広大な多元宇宙が存在するとされています。このような理由から、これまで何度も挫折を味わってきたのです。

 

弦理論はなぜ重要なのか?

弦理論では、今のところ実験的に検証可能な予測は得られていませんが、弦理論における数学はうまくいっています。だからこそ、弦理論は非常に有用なのです。

 

過去数十年にわたり、弦理論は説得力のある解決策を提示してきました。それは次のようなことです。

 

・超対称性という研究分野全体にインスピレーションを与えた。
・ブラックホール・エントロピーの理解に役立った。
・場の量子論における伝統的な計算への新しいアプローチにインスピレーションを与えた。

 

また、研究者たちは、AdS/CFT対応と呼ばれる、場の量子論と弦理論との間の関連付けを確立しました。

 

ですから、弦理論の話は万物の理論ではないかもしれませんが、科学の片隅で行われている孤立した研究体ではないことは確かです。むしろ、正しい方向を指し示し、量子の世界の新しい側面や美しい数学を発見するのに役立つかもしれないのです。

 

私たちは、現実の真の姿をまだ知りませんが、それがわかるまで掘り下げ続けるでしょう。

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