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プロダクトデザインにおける心理的美学の重要性 顧客の習慣に基づくフックモデルとは?

本記事は、The importance of psycho-aesthetics in the development of habit-forming products
翻訳・再構成したものです。
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プロダクトデザインの考えは、テクノロジー関連の製品を含め、あらゆる分野で利用されているツールでもあります。その基盤というものが、とりわけビジネスの世界では非常に重要であり、商品の売り上げを大きく左右します。さらに、アクセスデータの利用やその分析が進み、プロダクトデザイナーはテクノロジーのレバレッジを効かせるため、日々ユーザーの問題を解決するアイデアに頭を悩まされています。

 

プロダクトデザインについて書かれている読み物は多いですが、Nir Eyalの著書 Hook Model¹には、売れている商品の自然なカラクリが詳しく書かれていて、きっかけ、行動、メリット、投資、といった4つのフェーズでその商品が利用されるかどうかが分かります。成功する商品というのは、たくさんの経験(いわゆる“フック”)を積んでいます。

 

これによりユーザーの習慣が変化していくのです。この4つのサイクルを商品開発に組み込む際、Eyalは提案モデルの基準となるデータをあまり検証していませんでした。感情分析の統一化、ニューロンマーケティング、データ解析、ビジュアルデザイン技術は、ユーザーとの繋がりや価値の保証に必要不可欠です。

 

結局のところ、主役はユーザーです。彼らの目的を無視してしまえば、企業側の目標(自社商品の販売促進)と、ユーザーの目的は永遠に交わることはありません。そうなってしまっては、商品にとっても悪い影響が続くだけです。

 

生活用品を開発する際は、デザイナーはコンテクストデザインの要素を美しく設計しなければなりません。レスポンスの強さ、ニュートラルマーケティング、感情分析、ビジュアルデザインなどを綿密に計画することによって、商品を顧客にアピールすることが出来ます。この研究を通して主張したいのは、心理的な美しさを考慮せずには習慣的に使われる商品を生み出すことが出来ないという点です。

 

開発の背景には、Eyalのフックモデルがあります。メディアを利用してサイクル自身が生活に根付けば、長く使われる商品になり、デザインに関わらず顧客を納得させるような美しいものをビジネスとして完成させる必要があります。効果をあげることで商品の売り上げが上がり、最終的に企業の成功へと繋がってゆくのです。

 

フックモデル

 

このフックモデルというのは、きっかけ、行動、メリット、投資という4つのユーザーステップで成り立っています。商品開発において、Eyalは各ステップの重要性を主張しています。最終的に顧客の習慣に基づいたものを作るのであれば、このモデルを理解することが必要です。

 

 

第一ステップであるきっかけは、行動を起こす引き金となり、内部へ向かうもの(通知や広告)と、外部へ向かうもの(感情や記憶)の両方があります。このきっかけが次のステップである行動を引き起こします。この行動を起こすためには、それほど多くの思考やエネルギーを必要としないので、可能性は最小限であると言えます。

 

ユーザーのとる行動は、そこから得られるメリットと深い関係があります。大抵の場合、次のステップであるメリットを補うことがほとんどです。fMRIの研究によると、変動しやすいメリットであればあるほどストレスは大きくなり、メリットを得る前にそれを期待することで、興奮状態や好奇心を引き起こします。フックモデルの最終段階は、投資です。商品を使用した際に、ユーザーは自分のニーズを満たそうとします。これはInstagramのアカウントを自発的にフォローするような場合もあれば、ユーザーデータを集計するアルゴリズムの場合もあります。

 

商品にかける時間が長くなれば、ユーザーの好みに応じた、より個人に特化した商品へと改善されていきます。この段階の前にあるきっかけ、行動、メリットを踏まえて初めて、商品に対するデータを参考にユーザーは体験しようという気持ちになることを忘れてはいけません。Eyalは全てのステップの重要性を主張していますが、その補足として情報を追加したいと思います。

 

4つのステップを踏まえ、習慣づくりを行うために、行動パターンを割り出してユーザーに買いたいと思わせる必要があります。またこのサイクルを繰り返すことで、”売れている商品は最終目標に到達しているので、さらに広告やメッセージで働きかけなくても顧客にリピートしてもらえる”とEyalは確信しています。

 

それが言えるのは、商品が次の2つの価値を提供している場合です。それは、顧客が頻繁に利用してくれることと、ユティリティ(いかに便利で、顧客の問題を解決してくれるかどうか)を生み出すことが出来るか、いうことです。このフックモデルには長所と短所の両方がありますが、商品開発のデザインと技術をさらに深掘りしていきたいところです。

 

フックの基盤を構築

 

フックモデルは商品の売り上げに重大な影響を及ぼしますー特に習慣の基盤の元になり、他にも重要な役割を果たす要素はたくさんあります。フックモデルを維持し続けるためには、ユーザーへの訴求は欠かせません。感情に紐づいて顧客と商品の間には何か関心を引くものが生まれ、脳を刺激して購入や使用の継続へと意思決定を向かわせます。

 

また、その感情や体験を考慮して、プロダクトデザイナーは商品開発を行わなければなりません。感情の結びつきと全体の体験の間にある要素は”心理的美学”を元にしています。なので、調査結果と技術の力を使ってユーザーを理解し、同時に美しさも追求していく必要があるということです。

 

ユーザー調査の体系

 

商品の売り上げにはマーケットの理解とターゲットである顧客の理解の両方が非常に大切です。PrahaladとSawhneyが言うには、良いデザインは顧客への理解が深い、とのことです。彼らのニーズ、欲求、期待が分かれば、”価値ある顧客体験”を提供出来るのです。

 

ユーザー調査はとても簡単で、インタビュー、研究、ニューロマーケティングの技術を使った脳の分析に特化するということです。リサーチを行うと、マーケット上のプロフィールやターゲットユーザーを構築するために、デザイナーはペルソナをストックしていきます。大量のデータや関連する顧客データをまとめるには大変便利なツールであり、デザイナー自身のニーズや目標も得られます。

 

商品が改善されれば、ユーザー中心のデザインを設計することが出来るだけでなく、彼らとの感情的な繋がりも強くなるでしょう。そのような心理的結びつきが、外部と内部両方のきっかけの関連性を生み出し、より商品を魅力的にするのです。感情に訴えかけることこそが、最も重要な要素かもしれません。

 

ニューロテクノロジー

 

ニューロテクノロジーやデータを使って、商品に対するフックを設けることも可能です。Venkatraman、Clithero、Fitzsimons、Huettelの4人によれば、それらのデータを利用することでニューロサイエンスから異なるアイデアが発展する(“ニューロエコノミクス”としても参考の対象になる)とのことです。つまり、以前は閉ざされていた顧客と市場調査の道が、再び開かれるということです。

 

従来の方法では、顧客のニーズに対してその深さと詳細が足りませんでした。fMRIとニューロンの蓄積や行動データがあれば、さらに範囲を広げることで顧客のタイプ別に掘り下げたアプローチを仕掛けていくことが出来ます。さらに、今まで不可能だった潜在意識に隠された好みが分析出来るようになり、それによってより正確な購入プロセスを知ることが可能になります。

 

フックモデルを導入するには、このように”決定、反応、行動”が無意識的に行われることを頭に入れなければなりません。ユーザーの行動や意思決定までのプロセスにある潜在意識に気づくことで、デザインも改良を進めることが出来るのです。

 

ビッグデータ

 

Yeungが言うには、ビッグデータとは大量のデータを効率的良く処理する技術能力であり、パターンやトレンド、相関関係を構築するものだそうです。ビッグデータやユーザーの行動パターンの集積データを利用すれば、個人を特定することが可能です。

 

ビッグデータを通じてパーソナル化されたデータは、”hypernudge”と呼ばれ、絶えずユーザーの行動や考え方を参考にし、結果的に彼らの商品に対する価値理解を深めます。すなわち、”hypernudge”は”hook”の効果を高め、商品を利用することと”hooking”している顧客の関連性も高くなるということです。

 

ビジュアルデザインとその美学

 

機能と商品の質は美学よりも求められない、と言われる中、Gogeunの行った調査では、色の美しさが潜在的に顧客へ与えている影響は大きいということが判明しました。より美しいものこそ、顧客の心を掴んでいるということです。Frank Spillers(ここではHurff)による心理学の研究でも、ビジュアルの良い商品は”脳への喜びや感情を豊かにする”と言われています。その証拠に、ビジュアルデザインやその美しさはフックモデルの強い基盤にもなっており、感情のきっかけ(内部へのきっかけ)として商品価値を高めます。顧客に行動を起こさせる発火剤となるのです。

 

やみつきになる習慣

 

Eyalのフックモデルは変わりやすいので、それらを統合することでユーザーを取り込む習慣を生み出すことが可能ではないかと言われています。それを示すために、以前Googleで働いていたTristan Harrisはデザイナーとエンジニアに直接指導し、ユーザーが”携帯電話を見たくなるような”行動へとコントロールするよう指示しました。顧客の心を掴むため、シリコンバレーでの”人間の心の脆さ”を強調し、その後フックサイクルへと組み込まれていきました。

 

フックモデルを導入して顧客との繋がりが深くなるにつれ、残念なことに中毒性も増えています。16〜88歳を対象とした23,532人で行った調査によれば、ソーシャルメディアによって引き起こされた衝動は、個人の性格から生まれているとのことです。特に、ナルシストで自尊心の低いユーザーは、ソーシャルメディアに頼りがちです。これはいわば、いいね!やコメントが断続的に(フックモデルで言うところのメリットに当たります)発生しているからです。この場合、習慣を他人に左右されやすい顧客に対しては効果的な利益システムといえます。

 

無駄の少ない成功商品

 

中毒性のある商品は売り上げ見込みがある一方、企業がデザインに望めば商品の質に対するトレードオフも認められるでしょう。顧客のニーズと目的が分かれば、マーケットでのギャップも把握することが可能です。また、ニューロマーケティングの技術と顧客への理解向上が出来れば、フックモデル(きっかけと行動) のコンテクストに至るまでの脳内のプロセスを理解出来ます。その結果、最善な―それどころかより倫理的にーデザインと商品開発に向き合うことが可能なのです。

 

これらの基礎があれば、ユーザーへの深い理解、また経済と市場のニーズに見合った商品の開発が出来るでしょう。しかしマーケットとユーザーへの理解にかけていれば、売り上げに影響するだけでなく、最終的に企業へのダメージも大きいでしょう。なので、ユーザーを理解していればプロダクトデザイナーは企業に大きく貢献出来ます。

 

結果的に、ユーザーに寄り添ったデザインが無駄を減らし、両者を幸せにするのです。顧客側は自分が使用する商品に満足し、企業側は売り上げや利益が出るという仕組みです。フックモデルや心理的美学を取り入れて成功した企業にとって重要なのは、特定の人々に起こりうる習慣を考慮することです。特に、ナルシストな性格の持ち主にこれが当てはまります。これらを特定するために、デザイナーはデータを駆使して理にかなったデザインを工夫しなければなりません。長い目で見て、中毒傾向のあるユーザーを守るためのデザインが求められているのです。

 

まとめ

 

この研究の当初の目的は、商品を思い出す基本である心理的な強い美しさがなくても、その商品を習慣的に購入へと向かわせることでした。Eyalのフックモデルにはそのためのテストと解決策が隠されていましたが、成功のカギを握る基盤に必要不可欠な美学が欠けていたのが問題でした。実際、フックモデルを利用すれば商品の売り上げは簡単に伸びます。デザインに潜む心理的な美学を無視していては、いつまでたっても商品の価値をユーザーに届けることは出来ません。

 

この美学を利用すれば、デザイナーはユーザーと商品の感情的な結びつきを強めることが出来て、彼らにとってのきっかけづくりともなります。一旦構築してしまえば、あとは必要に応じて変更するだけです。もちろん倫理的な面をクリアしているので、企業は悪い評判で責められることもないのです。

 

プロダクトデザインというのは、最終的には技術スキルと芸術的な創造性の融合です。競合分野における認知を高めるには、これら2つの分野のバランスだけではなく、どのようにデータをクリエイティブに活かすか考える必要があります。テクニックやアプローチに関わらず、フックモデルを組み込む先は顧客であり、最終的に成功や商品の継続へとデザイナーを導いてくれるのです。

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