財務トラッカー、CRMS、HRMS、ERMS、ERPsなど、B2B向けのソフトウェアはたくさんあります。そういったソフトウェアは往々にして高く、複雑で使いづらい機能の場合が多いです。ユーザー中心のシステムを念頭に置く企業で働くデザイナーは、そのようなアプリを新たに展開していかなくてはなりません。
優れたUXとは、直感を大事にし、絶えずユーザーに喜びを与えるようなもののことを指します。
なんとかしてユーザーのニーズや目的を叶えようと努力しているものこそが、デザイン性の高いインターフェースと言えます。消費者向けのアプリでそのクオリティが当たり前になってくると、企業ドメインで働くデザイナーやウェブ開発者も、すぐに結果を出そうとします。そこで、2019年のアプリに着目して、優れたUIの例を一緒に見てみましょう。
1.効果の高い音声インターフェース
統計によれば、米国に住む大人の41%は音声操作をほぼ毎日使用しているそうです。またこの数字は、2020年までに50%に到達すると考えられています。
Alexa、Siri、Google Assintantのように、すでに生活に組み込まれているものもあります。
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音声インターフェースは、企業のデザイン面にさまざまな形で影響を及ぼしています。キーボード、タッチパネル、感知デバイス、音声入力、その他にも簡単に操作出来るコンピュータインタラクションが、これまで数々展開されてきました。音声インターフェース(VUI)があるおかげで、ますます便利にハンズフリーで操作が行えるようになったのです。企業に特化したデザインは、プロセス全体の記録を残している間のデータに基づいて設計されています。
感覚的で自然体なVUIを開発するのは、決して簡単なことではありません。不完全なVUIは、ユーザーのストレスを引き起こす原因になりかねません。IVRシステムを確認すれば、それは明らかです。また音声テクノロジーは、アクセントや発音の違いを認識出来るところまで来ています。今後は、もっと夢中になれるコンテンツ、つまりユーザーがシステムに望むことや疑問に思うことなどを考慮しなくてはなりません。
カギとなるメトリクスがあれば、VUIが強化されて性能も良くなります。情報収集のスピードアップや、ユーザー履歴から支出の見通しも立てられるでしょう。また、ビジネスの効率を上げるヒントも浮かぶかもしれません。
例えばSAP Leonardoは、社員によるデジタル補助機能の利用回数を増やすためにチャットボットのパフォーマンスを高め、会話型AI を使用しました。これはまた、問題解決や組織に付随する複雑な仕組みを減らすためでもありました。さらにMicro Speechでは、簡単な音声操作で利用出来る、似たような仕組みのMS Officeが開発されました。社員が効率よく仕事を見つけ、仕事に集中出来るような仕組みへと改善されたのです。
2.3Dインタラクション
ビジュアル化は、データを分かりやすく整理したり、理解しやすく編集したり、分析や判断材料にするのに効果的な方法です。高解像度で写実的な画像が求めらる工業ビジネスでは、3D技術を用いてビジュアルを加工することが出来ます。例えば、SAPのVisual Enterpriseスイートでは、3Dアニメーションを使った種類豊富なビジュアルコンテンツが展開されています。デスクトップ文書、ファイル形式、ビジネスアプリとして安全に利用することが可能です。エンジニアと製造工程もサポートされており、3D CADのデータを変換することも可能です。
3.ワイドなモバイル画面向けのデザイン
企業アプリはすでにモバイル端末に参入し、2019年以降は特にUIの最適化に注力してきました。モバイル画面の拡大に伴い、ボタン式のメニューは特に人気が高まっています。
CTAボタンもまた、モバイル画面に対応して出来た機能です。ビジュアルを目立たせることで、ユーザーに狙い通りのアクションを起こさせるように設計されています。ユーザーフローを巧みに誘導し、インターフェースを効率的にする簡易的なボタンです。
4.マイクロインタラクションの作成
企業アプリのUIに関して、Slackの話題は避けて通れません。非常に有名なこのB2B 商品は、その実用性やずば抜けた特徴が高く評価され、これまで信頼を保ち続けてきました。Slackのマイクロインタラクションは、実用性と情報、日常生活にある面白い要素が混ざり合っています。リモートワーカーが多数いるおかげで成り立っている部分もありますが、デザイン情報が充実しているのも、重要な要素に違いありません。
5.サンキーボード機能のデザイン
音声認識、スムーズな言語対応、顔認証、おそらく企業テクノロジーでさえ当たり前となった時代の中で、我々はすでに生活しています。ゆえに、次に来るのは、人間のコミュニケーションに垣間見えるわずかなニュアンスの違いを真似出来るような機能だと言ってもおかしくありません。”UIのない生活が最適なUI”という考えもありつつ、次に来るのはアーギュメントリアリティ(AR)、バーチャルリアリティ(VR)の波だと言われています。
しかし企業コンテンツの観点から厳しい言い方をすると、将来のUIを取り巻くこれらの話し合いは、ユーザーにとってバーチャル世界のシステムがどれだけ意味があるのかを思い知らされます。バーチャル世界の方が現実世界よりも良く見える、と述べるのは、ジョージア技術機構にあるインタラクティブコンピュータスクールの教授であるBlair MacIntyreです。”我々は、VRの世界を完全に手に入れたいわけではないんだ。だって、結局ノートを見たりキーボードで入力したりコーヒーカップをこぼさずに持ち上げるのは自分だからね”とも述べています。
キーボードを使用しない機能の例としては、GoogleのPixel3が有名です。デバイスのカメラを起動してヴィジュアルで認識し、検索ツールや認証システム、商品の場所を探すのに便利です。
近い将来、チューリングテストに合格したUIによって社員のパフォーマンスもぐっと上がるでしょう。スムーズに会話を理解するテクノロジーと業務を共にすれば、我々の働き方にも何かしらの変化が起きるはずです。
これから先は、個性というのが企業UXのカギとなってきます。インターフェース知能の向上もまた、ユーザビリティの改良には必要不可欠でしょう。
Bansi Mehta
UEに地打て10年以上従事した経験を持つ、Koru UX Design LLPの創始者兼CEOです。ヘルスケアからブティックへの投資銀行に渡るまで、広範囲のクライアントとともに仕事をするかたわら、彼女のチームでは企業アプリ用のUXやシステムが共同で提供されています。周りの人に貢献している瞬間、その人生には生きる価値があるのだということを、主体的に活動するリーダーとして彼女は固く信じています。