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こんな使い方もできます! ナノテクノロジー活用・応用術14選

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本記事は、14 Unfamiliar Uses of Nanotechnology | Benefits And Applications
翻訳・再構成したものです。
配信元または著者の許可を得て配信しています。

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読了時間 : 約9分17秒

ナノテクノロジーという言葉は、1974年に谷口紀男【当時、東京理科大学理工学部機械工学科教授】によって初めて作られました。ナノメートルオーダーの特性制御を行う半導体プロセスについて述べたものでした。

 

1ナノメートルとは、どのくらい小さいのでしょう? 人間の髪の毛の幅は約50マイクロメートルです。1ナノメートルは、髪の毛の幅の5万分の1です。

 

現代のナノテクノロジーは、1981年に科学者が個々の原子を「見る」ための走査型トンネル顕微鏡を開発したことに始まります。

そもそもナノテクノロジーって何?

ナノテクノロジーとは、1~100ナノメートルというナノスケールで行われる科学、技術、工学のことです。日々新しい発見があり、複雑なテーマでもあります。

 

ナノテクノロジーは、材料や機器にこれまでにない洞察をもたらし、デバイス物理学、材料科学、超分子化学、コロイド科学、電気・機械工学など、様々な分野に影響を及ぼすと考えられています。

 

この記事では、ナノテクノロジーをよりよく理解できるよう、その用途をわかりやすく簡潔に説明しています。ナノテクノロジーのあまり知られていない用途とその利点を挙げ、それらが実際に私たちの日常生活にどのような影響を及ぼしているかを示しました。

14. 食品産業におけるナノテクノロジー

食品分野の様々な側面におけるナノテクノロジーの役割
出典:Frontiers

 

この20年間、食品加工、包装、安全性、食品由来病原体の特定、食品の保存期間延長など、食品微生物学および食品科学の様々な分野でナノ粒子利用の必要性が高まるにつれ、ナノテクノロジー応用が浮上してきました。

 

食品産業で使用されるナノ加工粒子は、たとえば、炭酸飲料の二酸化炭素の漏れを最小限に抑え、脂肪を減らし、栄養価を向上させることができます。また、食品の鮮度を保つために、水分の排出を維持し、細菌の繁殖を制御します。

 

ナノスケールのセンサーと組み合わせたスマートパッケージング技術により、汚染された食品、バクテリア、農薬の存在を検出することができます。

 

今日、ナノスケールの成分は、食品の風味、食感、色を向上させるために使用されています。二酸化チタン、二酸化ケイ素、非晶質シリカのナノ粒子は、食品添加物として使用されています。

 

食品産業において、ナノ粒子の商業的応用は、その斬新でユニークな特性により、著しい速度で成長すると予想されます。したがって、ナノ粒子への人体の暴露は今後も増加し、それに伴う健康への影響は、引き続き公衆の主要な関心事となるでしょう。

13. 分子通信

ナノマシンは、作動、センシング、データ保存、コンピューティングなど、多くのタスクを実行できる完全な機能デバイスです。より効果的かつ効率的にするために、これらの機械はネットワークの形で相互に接続される必要があります。

 

分子通信は、ナノマシン間の通信に分子を使用するナノ通信ネットワークのパラダイム【枠組み】です。このシステムは、特定の種類の分子の有無を使って、データをデジタルでエンコードします。

 

分子を媒体(水や空気など)に送り込み、伝送することで機能するものです。通信信号にはエネルギーがほとんど必要なく、生体適合性を持たせることができます。また、特定のサイズのアンテナを必要としないという特徴もあります。

 

分子通信は、生体物質間の通信に着想を得ているため、生物医学や環境分野への応用が期待されています。

 

たとえば、人体内のナノ通信は、組織工学、免疫システムの強化、ブレイン・マシン・インターフェース【脳情報を利用することで、脳と機械を直接つなぐ技術】、標的薬物送達など、いくつかの健康への応用が可能です。

 

現在、科学者たちは、バイオ・ナノマシン間のエンド・ツー・エンド通信のモデルに取り組んでいます。

12. 神経細胞の育成

画像出典:Sebastian Kaulitzki/Shutterstock

 

体内の神経細胞を再生することができれば、外傷や病気の影響を大幅に減らすことができます。科学者たちは、神経細胞の再生を改善するために、ナノテクノロジーに取り組んでいます。

 

彼らは、軸索(または神経線維)の伸長を刺激するための機械的張力を発生させるために、磁性ナノ粒子をどのように使用できるかを示しています。また、配向したナノファイバー【超微小繊維】が、神経細胞の再生に必要な生物活性マトリックスを提供する方法についても説明しています。

 

いくつかの研究により、カーボンナノチューブ【炭素原子が六角形に並んだ表面構造をもつ、管状の物質】が神経細胞の完全な成長と新しいシナプスの形成を促進することが証明されています。しかし、この成長は無差別かつ無制限ではありません。

11. 太陽電池の性能向上

グリーンエネルギーへの関心が世界的に高まるなか、科学者たちは太陽電池の効率を高める方法の研究を続けてきました。ここ数年、ナノテクノロジーは太陽電池の効率を高め、製造コストや設置コストを削減するために利用されています。

 

特にシリコンナノ粒子は、バルク密度が低く、表面状態が活発で、ユニークな発光特性を持つことから、その有用性が証明されています。このため、集積型半導体、発光ディスプレイ、太陽電池、リチウムイオン電池などにも利用されています。

 

最近のグラフェン系太陽電池の進歩により、従来の太陽電池と比較して反射率が20%低下し、エネルギー変換量が少なくとも40%増加しました。

10. ナノアート

ジョンティ・ハーウィッツ制作のナノ彫刻作品

 

「ナノアート」により、科学者がアーティストになりつつあります。分子や原子のスケールで行われるアートワークです。研究所の電子顕微鏡で観察される天然または合成のナノ構造を描写するのです。

 

ナノアートを作るために、科学者はまず分子や原子の質感を分析し、その顕微鏡画像を撮影し、その結果得られた画像を調整して、ユニークな芸術作品を作り出します。このようなアートの目的のひとつは、便利で小さな物やその合成の進歩に親しんでもらうことです。

 

2015年、ジョンティ・ハーウィッツは、フォトグラメトリ【写真画像から対象物の幾何学特性を得る方法】と多光子リソグラフィー【強力なレーザーナノスケールの積層造形法】を用いてナノ彫刻を生成する新しい方法を開発しました。ナノテクノロジーを使って作られた史上最小の人型が評価され、現在ではクリエイティブなアーティストとして活躍しています。

9. 医療診断と治療

ナノテクノロジーを利用した診断方法は、以下の2つの大きなメリットをもたらします。

 

・迅速な検査により、医師は診断検査を行い、1日以内に治療を開始することができる。
・重篤な疾病を早期に発見することで、医師が疾病を早期に阻止し、患者への負担を軽減することができる。

 

たとえば、科学者たちは、血流中のがん細胞を検出するための「ナノフレア」と呼ばれるナノ粒子を開発しています。このナノ粒子は、がん細胞の遺伝子ターゲットと結合し、その特定のターゲットが見つかると蛍光シグナルを発するように設計されています。

 

もう一つの好例は、個々のウイルス粒子を識別できるナノポアセンサーです。ナノポアセンサーと人工知能技術を組み合わせることで、ウイルスの迅速かつ的確な検出が可能になるかもしれません。

 

研究者は、クロルヘキシジン-ヘキサメタリン酸塩ナノ粒子を組み込んだカテーテル用ドレッシングのプロトタイプを開発しました。これは、バクテリアの成長を抑制し、傷口のコロニー形成を減少させることができます。近い将来、この種の分子は、感染症を制御するための創傷ケア材料に使用されるようになるかもしれません。

 

8. 燃料の利用可能性を向上させる

ナノテクノロジーは、様々な方法で化石燃料(ガソリンやディーゼル)の不足を解消することができます。

 

・エンジンの燃費を向上させることができる。
・従来の原料から効率的かつ経済的に燃料を製造することができる。

 

ナノ材料は、触媒活性、耐久性、安定性、高度な結晶性、効率的な貯蔵などのユニークな特性を持っているため、数多くのバイオ燃料システムの優れた候補であり、これらは総合的にシステム全体を最適化するのに役立つ可能性があります。

 

ガス化、熱分解、嫌気性消化、トランスエステル化、水素添加を組み合わせたナノテクノロジーは、経済的かつ効率的であることが証明されていますが、まだほとんどが実験室や小規模なものに限られています。近い将来(おそらく今後30年以内)、商業規模で従来のシステムに取って代わると思われます。

 

酸化カルシウム、チタン、酸化ストロンチウム、酸化マグネシウムなど、いくつかの金属酸化物ナノ触媒が、バイオディーゼル製造のための高い触媒性能を持つものとして開発されてきました。また、炭素系ナノ触媒も、様々な原料からバイオディーゼルを製造できる大きな可能性を秘めています。

 

7. ディスプレイと光電子デバイス

紫色から濃い赤色まで段階的に発光する量子ドット
出典:Wikimedia Commons

 

シリコンナノワイヤとカーボンナノチューブは、低消費電力のディスプレイの開発を可能にします。これらのナノ構造は導電性が高いため、これまでにない効率の電界放出型ディスプレイに使用することができます。

 

有機EL(OLED)では、ナノ材料とナノ加工技術を使用して透明電極を製造し、有機ELを外部からの損傷(水など)から保護するために包装しています。

 

科学者たちは、数ナノメートルのグラフェンを透明導電体として開発することに成功し、安価でフレキシブルな有機ELの道を切り開くことになりました。

有機ELに代わる有機発光トランジスタは、有機オプトエレクトロニクスに新たな扉を開くとともに、励起子消光や光子損失といった光通信の基本的な問題を解決するためのテストベッドとなる可能性を秘めています。

 

量子ドットは、数ナノメートルの小さな半導体粒子で、電気活性(エレクトロルミネッセンス)と光活性(フォトルミネッセンス)を併せ持っています。そのユニークな物性から、次世代ディスプレイの材料として期待されています。

 

量子ドットを用いた材料は、有機ELや有機発光材料と比較して、寿命が長く、色彩が純粋で、消費電力や製造コストが低いという特徴があります。

6. コンピューティングと記憶貯蔵

ナノメートル半導体の製造プロセスの進展

 

ナノエレクトロニクスを用いれば、コンピュータのプロセッサを従来の半導体製造方法よりも強力にすることができます。現在、科学者たちは、新しいタイプのナノリソグラフィーを含む多くの技術や、従来のCMOSコンポーネントの代わりに低分子やナノワイヤーなどのナノ材料を使用する方法について研究しています。

 

彼らは、ヘテロ構造の半導体ナノワイヤーや半導体カーボンナノチューブを使った電界効果トランジスタを開発することができました。

 

大手IT企業は、2010年代初頭にナノエレクトロニクスメモリの生産を開始しました。2013年、サムスンは10ナノメートルのマルチレベルセルNANDフラッシュメモリーを生産し、2017年には、台湾半導体製造社が7ナノメートルプロセスでSRAMメモリを生産しました。

5. 量子ナノサイエンス

量子ナノサイエンスとは、物理科学およびナノテクノロジーの一分野であり、量子力学を利用して、人工的なナノ構造体におけるコヒーレント量子効果を探求するものです。

 

近年、量子コンピュータの実現に向けた研究が盛んに行われるようになり、「量子」は新たな意味を持つようになりました。現在では、量子コヒーレンス、重ね合わせ、エンタングルメントなどの量子力学的現象がナノスケールで工学的に実現されています。

 

この分野では、量子コンピュータ、量子シミュレータ、量子通信、量子センシングなどの応用が進んでいます。

4. スマートフォンと電気自動車の急速充電

最近、リチウムイオン電池などのエネルギー貯蔵システムを改善するために、ナノ構造の電極材料の開発に大きな努力が注がれています。

 

一部の研究者は、スーパーキャパシター【電気二重層キャパシター】として使用可能な2次元遷移金属ダイカルコゲナイドを開発しました。この材料は小さく、電子の移動が速いため、より高速な充放電が可能になります。ナノメートルの太さのワイヤーに2次元材料のシェルをコーティングしたものです。

 

このような例はいくらでもあります。イスラエルのStoreDot社は、ナノ材料を製造しており、(独自の有機化合物と組み合わせて)スマートフォン、電気自動車、家電など様々な産業で究極の急速充電の標準となる可能性を秘めています。

 

エネルギー密度と急速充電のユニークな組み合わせは、次世代フラッシュバッテリーの新しい扉を開きました。同社によると、スマートフォンのバッテリーは60秒、電気自動車のフラッシュバッテリー(不燃性有機化合物を使用)は5分で充電が可能(300マイルの走行距離を提供)だそうです。

3. ナノコーティングとナノ構造表面

疎水性ナノコーティング

 

近年、原子やナノスケールで厚みを制御したコーティングが一般的になってきました。最近では、化学物質を触媒的に破壊するナノ粒子酸化物コーティングや、抗菌・撥水加工されたセルフクリーニングウィンドウ(活性酸化チタンでコーティング)などが応用されています。

 

ナノスケールの中間層は、優れた接着性と熱・弾性特性の段階的なマッチングを実現し、密着性を高めています。また、耐摩耗性、耐傷性に優れたハードコートも実現できます。

 

さらに、ナノスケールでの空隙率制御の向上により、防水性、透湿性、防汚性など、テキスタイルの性能も格段に向上しています。

2. 宇宙探査

出典:NASA

 

ナノテクノロジーは、宇宙飛行をより実用的なものにすることができます。最近のナノ材料の進歩は、エンジニアが宇宙船を軽量化し、ロケットを宇宙へ送るのに必要な燃料の量を減らすのに役立っています。

 

新素材とナノロボットやナノセンサーを組み合わせれば、宇宙探査機や宇宙服の性能をさらに向上させることができます。科学者たちは、構造強度を維持しながら宇宙船の重量を減らすために、カーボンナノチューブをベースにした材料を採用しています。

 

これらのカーボンナノチューブは、太陽光の圧力(太陽電池に反射する光)を利用して宇宙探査機を推進する軽量な太陽電池を可能にします。これにより、惑星間ミッションの際に、より多くの燃料を節約することができます。さらに、搭載されたナノセンサーは、宇宙ステーション内の微量化学物質のレベルを監視し、生命維持装置の性能を分析することができます。

1. 大気と水の質を向上させる

大気汚染を減らすために、ナノテクノロジーは主に2つの方法で利用されています。

 

1.触媒 – 現在使用されており、定期的に改良されている。
2.ナノ構造膜 – 現在開発中。

 

ナノ粒子から作られた触媒は、工場や自動車から排出される蒸気を無害なガスに効果的に変換するために使用されています。

 

一方、ナノ構造膜は、工場の排気ガスから二酸化炭素を分離するのに使われます。目標は、コストのかかる改修をせずに、あらゆるタイプの発電所に導入できる技術を開発することです。

 

同様に、ナノテクノロジーは、水質における3つの大きな問題に取り組むためにも利用されています。

 

1.地下水中の工業用水汚染を除去する。
2.水中の塩分や金属を除去する。
3.標準的なフィルターを改良し、ウイルス細胞を効果的に除去する。

 

最初のケースでは、ナノ粒子が汚染された化学物質を無害な溶液に変えます。安価なプロセスで、地下の池に分散している汚染物質に到達することができます。

 

2番目の問題については、ナノファイバー電極に基づく脱イオン技術が、塩水を飲料水に変える際の必要エネルギーとコストを削減することが期待されています。3番目の問題では、わずか数ナノメートルの幅のフィルターを使って、水からウイルス細胞を除去しています。

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