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ブランドのリニューアルを成功させるには?過去のリブランド事例と最新のロゴデザイン動向

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本記事は、The Secrets of a Successful Rebrand (And Why Some Brands Miss the Mark)
翻訳・再構成したものです。
配信元または著者の許可を得て配信しています。

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読了時間 : 約10分38秒

リブランドとは、既存のブランドを時代や顧客に合わせて構築し直すことです。

 

 

リブランドの成功例と言えば、大手運送会社Federal Express(フェデックス)が1994年に行った伝説的な変革でしょう。

 

 

この会社の創設者であり、会長とCEOを兼ねるフレッド・スミス氏は、会社のイメージに活気を取り戻したいと考えていました。彼は、5ブロック先からでもトラックに書かれた社名を認識できるロゴを作成するようデザインチームに要求しました。

 

 

その結果、「FedEx」と名称を短縮した形の、元気で大胆なロゴが生まれたのです。

この新しい名称と見た目の独自性は、会社のバリュープロポジション(提供する価値)である「スピード」を完璧にまとめ上げています。 一見するとただの文字列であるこのロゴの中に、白い矢印が隠されているのがお分かりでしょうか?

 

 

こうして新しくなった「フェデックス」のブランドは、企業を次の世紀へと駆り立て、今日でも強力な存在感を示しています。

 

 

しかし、全てのリブランドがフェデックスのような成功を収めるかというと、そうとは限りません。

 

 

 

次は、トロピカーナ(Tropicana)が2009年に行ったリブランドの例を見てみましょう。

 

 

彼らが採用した新しいブランドとパッケージデザインは、最初こそ目新しく捉えられたものの、すぐに古くさくなってしまいました。新デザイン発表から最初の6週間で、売上がなんと20%も急降下したのです。

 

 

Before

 

After

 

 

この損失を取り戻すため、トロピカーナは以前のパッケージにデザインを戻しました。そしてそれは、私がこの記事を書いている現在でも変わらず採用されたままです。

 

 

さて、こうしたリブランドにおいて、何が成功と失敗の分かれ目を作るのでしょうか?

 

 

この記事では、考えられる幾つかの答えを探っていきましょう。

 

 

 

リブランドにかかる隠されたコスト

 

リブランドは高いコストとリスクが伴います。 企業は専門家を雇ってブランドの再構築をコンセプト化し、そして他のコンサルタントや販売者の力を借りて新しくなったブランドを公表します。

 

 

過去25年分、実に1200件を超えるリブランドのプロジェクトを分析した結果、ブランドの再構築にかかるコストは新しくブランドを創設する場合の20倍もかかることが分かりました。これは、最初にたった1ドルで創設されたブランドを再構築するために、20ドルも必要になるということです。

 

 

リブランドは準備にかかる時間的コストはもちろんのこと、企業の信用や評判、売上を失うといった大失敗の可能性を孕んでいます。しかし、そういったコストとリスクのとは裏腹に、企業がリブランドを行うことは驚くほど一般的です。

 

 

例えば、接客・サービス業界では、ホテルの全施設の3分の1がリブランドの経験があることが研究によって分かっています。 さらに、何十年も前から続いている企業は、複数回に渡ってリブランドを繰り返しています。

 

 

なぜこれほど多くの企業がリブランドを行うのでしょうか? それには十分な理由があります。

 

 

 

企業がリブランドを行う理由

リブランドが求められる理由は、企業の内部事情である場合や、外的要因によるものなど様々です。いくつかに分類して見ていきましょう。

 

 

1.会社の新たな位置づけを反映する

 

人間と同じように、企業も時間とともに変化します。子供が大人になると着る服が変わるように、企業も変化に合わせたブランドの再設計が必要となってくるのです。

さまざまな状況がこれに当てはまるでしょう。

 

 

・ 会社の発展

 

会社が成長し、別の市場にシフトしたり提供する製品や価値が変わった場合

 

代表的な例 :Infusionsoft

親会社がKeapとなった際、別の市場へ進出することを示すためにリブランドを行いました

 

 

・ 市場の発展

 

業界が消費者の要求と期待に応えるために新しいアイデンティティを必要とした場合

 

代表的な例 : Mailchimp

成長を拒みつつも、顧客主導で発展する余地を残しています。

 

 

・ 技術の進歩

 

新たな技術の出現により、それまでの会社の立ち位置や、ときには会社そのものが時代遅れとなってしまうことがあります

 

代表的な例 : Squarespace

ロゴに動きをつけるリブランドによって新しさを表現しています。

 

・ 分化

 

市場が発展して新規参入が増えるにつれ、競合他社との差別化を図るために、自社を改革する必要が出てくる可能性があります。

 

 

・ 国際化

 

新たな国に参入するとき、市場となる現地の文化や価値観に合わせたリブランドを行わざるを得ない場合があります。

 

 

・ ネガティブイメージ

 

PR危機や悪い評判、ステークホルダー(利害関係者:消費者や従業員、取引先など)からの否定的な反応といった企業にとって良くない兆候があるときは、大規模なアイデンティティの変革を迫られるでしょう。

 

 

 

2.ブランドをより関連性の高いものにする

 

リブランドを行う理由として最も一般的なものの1つは、最新かつ最先端であり続けるためです。私達がおばあちゃんのベルボトムを捨てて、ブーツカットのパンツと交換するのと同じですね。

 

 

次に上げるいくつかのケースは、ブランドをリフレッシュをした方が良い状況と言えるでしょう。

 

 

・ ブランドが時代遅れになった

 

ファッションと同じように、ブランドにもトレンドが存在します。 会社のブランドが古くさくてくたびれているように見えてきたなら、元気づけてあげる必要があります。

 

 

代表的な例: ブータン

現在の市場に合わせてモダンな見た目になりました

 

・ ブランド表現に統一感がない

 

何年にもわたって、企業や組織のブランド表現がバラバラで調和性に欠けていることがあります。 ウェブサイトの見た目と、提供する製品のパッケージのイメージは統一性がある方が良いでしょう。 リブランドは新鮮さ以外にも、調和やまとまりを出すために行われることがあります。

 

代表的な例 : Slack

 

ロゴデザインを変更し、見た目に動的な統一感を取り入れました。

・ ブランドのリセット

 

ビジネスが思いがけず急成長し、よく考える時間がないままブランド名やロゴを用意しなければならないことがあります。時間やリソースに充分な余裕ができた後、その時点で最も相応しい形に作り直そうとします。

 

 

 

3.事業の所有権の変更

 

企業の合併や分割、買収、合弁事業の開始などから生じる企業構造の変化によって、リブランドが必要になることがよくあります。

リブランドが企業間取引の一部となる場合もあります。 また、所有権が変更になった際にリブランドを行うのは理にかなっていると言えます。 合併は、文字通り「商号の合併」を意味するでしょうし、買収は買収された企業のアイデンティティを完全に消し去ってしまうかもしれません。

 

代表的な例: ヒューレット・パッカード・エンタープライズ

ヒューレット・パッカードからの会社分割の際に「The Machine」というブランドを立ち上げました。

 

 

 

4.法的要件を満たす

 

ある会社が他の企業の著作権を侵害しているとみなされた場合、裁判所は会社に社名やブランドの変更を要求することがあります。 これは、ブランドが法律で保護されているブランドと似ている場合に起こります。

 

 

 

5.リーダーシップの変化

 

CEOの交代によって必ずリブランドが必要になるわけではありません。 しかし、新しいCEOが突出した人物で、何年も続く可能性があるならば、リブランドが会社の方向性とビジョンが変化したことを表すための良い方法となるでしょう。

このようなケースの例として頭に浮かぶのは、スティーブ・ジョブズ氏が1997年にCEOとしてAppleに戻ったときのリブランドです。さらに、ジョブズ氏がAppleに戻ったことで会社の再編も行われました。このリブランドは、単に創始者が戻ってきた以上に大きな変化であることを示していたのです。

 

 

 

 

リブランドの種類

 

リブランドの形はその規模や範囲によって様々ですが、それらはリブランドの理由によって決まります。

 

 

・ 見た目の変更のみ

 

ロゴデザイン、フォントスタイル、色の変更といった簡単なリブランド。 ブランドをリニューアルしたり、ロゴをデジタルメディアに対応させたりするには、もう少し視覚的なアイデンティティの変更が必要になるかもしれません。

 

 

・ 名称と見た目の変更

 

より大きな意味を持つリブランドでは、名称とビジネスの視覚的なアイデンティティの変更がなされます。 こうしたリブランドは、所有権の変更や再編、市場の進化、法的な理由によって行われます。

 

 

・ さらに大きな変更

 

ビジネスの本質そのものが変わった場合、ブランドの再設計も同様に深く行わなければなりません。リブランドは、構想や目的、価値といったビジネスの中核となるものから始まり、その外側の表現へと展開されていきます。

 

 

 

 

2019年におけるロゴデザインの動向3つ

 

ファッションの流行があるように、リブランドにも流行があります。ここでは、私たちが発見したトップブランドの動向3つをご紹介しましょう。

 

 

1.シンプル化

 

アイデンティティをリフレッシュしようとしている企業は、ビジュアルをきれいに整えることを選んでいます。 これは、デジタルメディア上で、特にモバイルデバイスで見たときにミニマルなデザインが最も映えるからだと考えられます。

 

 

ミニマリストデザインは、余白やネガティブスペースの活用、サンセリフフォント、平面的なフラットデザインを使うことを特徴としています(とは言っても、今や時代遅れとなった立体的なデザインが復活する日は近いかもしれません )。
名称についても、FedExのように、簡単で短くパンチの効いたものが重視されます。

 

 

Mastercardは、ロゴデザインの変更によってシンプル化を目指しているようです。

マスターカードの新しいロゴデザイン

 

 

 

2.ブランドを『なくす』

 

若い世代の人たちは、ブランドのイメージではなく、それが何を表しているかによって信頼するかどうかを判断します。 そのため、見た目による仕掛け(伝統的なロゴ、フォントや色、およびそれらから連想されるイメージ)に騙されることを嫌い、代わりにそのブランドに信頼性や価値、整合性があるのかを吟味しようとします。

 

それに応えるために企業は、一見ブランドを取り払ったかのようなスタイルを採用することがあります。こうして新しくなったブランドは、これといった特徴はないものの、穏やかで人当たりの良さそうなデザインをしています。

 

カナダのスキンケアのブランドである The Ordinary( ジオーディナリー)は、ビジュアルデザインを名称だけにするリブランドを行いました。

 

 

 

3.逆行/ヴィンテージ

 

一部のブランドは、近代的な見た目ではなくヴィンテージな見た目をしています。この傾向は、トレンドキュレーターである ロフィット・バルガヴァ氏によって「RetroTrust(レトロ・トラスト)」と名付けられました。

 

 

彼は2019年に出版された自身の著書において、「何を信頼すればよいか分からないことが多いので、消費者は実績や経験があるものや自分に馴染みのあるものを選びやすい」と述べています。

 

 

この動きは時代の流れに逆行しているように感じられるかもしれませんが、振り子が戻ってくるように、実際に起っていることなのです。

 

 

多くの人々が、現代の行き過ぎたデジタル化からくる人間性の欠如やせわしなさに幻滅しています。彼らは「古き良き時代」を懐かしみ、アナログレコードやレトロゲーム、さらにはアナログフィルムを使うカメラまでもが復活しました。

 

 

ウィスラークラシックソーダのレトロなロゴは、1950年代をイメージしています:

 

 

 

 

 

成功したリブランドの5つの重要な要素

 

では、企業が行ったリブランドの例からは何が学びとれるでしょうか?

 

 

リブランドが成功するかは保証されていません。それは確かなことですが、過去の事例からは次のようなヒントを得ることができます。

 

 

 

1.正当な理由であるべき

 

リブランドには必ずコストとリスクが伴うため、正しい理由があるときに実行するべきでしょう。見た目の新しさを求める度にリブランドを行うのは、良いことではありません。

 

 

変更のための変更が裏目に出てしまうことがあります。これは、Zaraが発表したロゴデザイン変更のケースです。この変更は評論家の間で最悪の評判だったようです。

 

(このツイートは、Zaraの新しいロゴに対する辛辣な批判のうちの1つにすぎません。)

 

 

 

企業はまた、まったく異なる解決策を必要とする問題への対応としてリブランドを行いたくなるかもしれません。しかし、Forbes Agency Councilのメンバーであるジョン・シンプソン氏によると、販売サイクルやブランド認知度、マーケティングの業績は、リブランドの際に悪化するだけだそうです。

 

 

 

2.研究に研究を重ねる

 

研究と精査を重ねることは、リブランドの大失敗に対する最良の保険となります。 まずはあなたのブランドの持つ資産を評価することから始めるのが良いでしょう。 顧客と見込み客、従業員や他のステークホルダーとどのように共鳴しているのか、またはしていないのか?競合他社はどうなっているのでしょう。

 

 

仮説を立て、疑問を投げかけ、研究結果と照らし合わせながらよく検討してください。

 

 

 

3.周囲を巻き込む

 

リブランドは単独で進めるべきではありません。リブランドは全ての過程において、ステークホルダーを巻き込んだ方が良いでしょう。コラボレーションや参入、コミュニケーションはどれも、リブランドの成事例の一部なのです。

 

Rebrand 100 Global Awardsの創設者であり主催者でもあるAnaezi Modu氏は、「リブランドを最初から正しく行うには、上から下と中から外まで、様々な手を使わなければならない」と述べています。経営陣が単にマーケティング部門とそのコンサルタントを引き継ぐだけでは不十分なのです。

 

 

 

4.実行のために投資する

 

冒頭で述べたのように、リブランドには立ち上げ時の20倍の予算が必要となります。リソースを配分する際はこの点を考慮に入れましょう。正当な理由でリブランドが行われていても、検討や予算が足りずに失敗に終わることがあるからです。

 

 

 

5.さらに深く

 

表面的なリブランドでも、ブランドの本質を再考する良い機会となります。それならさらに深く、より正確な表現にリブランドするのが良いでしょう。

 

 

「本当のイノベーションと進歩の機会を逃してしまうケースは多い」とModu氏は述べています。 「必要とあれば、外部の助けを借りて死角をなくすべきでしょう。そうすれば、時代や状況が変化しても関連性を保ったまま発展することができます。これらは遅かれ早かれ必要となってくることなのです。」

 

 

 

 

最後に

 

企業にとってリブランドは、最高の大成功にも、最悪の大失敗にもなり得ます。

 

 

その違いは何だったのでしょうか?

 

 

あなたの企業のアイデンティティと顧客に対して、嘘をつかないことです。

 

 

変化を求めるためだけのリブランドは見抜かれ、リブランドで何が変わったかということは、相手にちゃんと伝わるものです。リブランドは、単にグラフィックデザインを変更することではありません。 それは、内部の変容を外からも見えるようにすることなのです。

 

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