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「脳の構造」から学ぶデザインの大原則!――あなたは脳の「どの部分」に向けてデザインしていますか?

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製品を他より抜きん出させるためには、私たちの脳のより「原始的」な部分に働きかけるデザインが重要になります。

本記事では、その仕組みを、脳の構造から解説します。

 

私たちは論理的な存在ではありません。いくら思考能力によって他の動物から区別されるとはいえ、論理的、最適、または意図的な決定のほとんどは、脳の「思考」の部分を使って行うわけではないのです。

ほとんどの決定は私たちの脳のより直観的な部分(システム1とします)によって行われるので、私たちは常に最も合理的な決定を下すわけではありません

生理学的に言えば、システム1は、私たちの進化の過程でかなり古くに発達した、古い脳と中間の脳の両方を含む部分です。古い脳は呼吸や心拍などの機能を制御し、中間の脳は感情を制御します。このシステム1は自動化されており、迅速に情報を処理することができます。餌食から捕食者を瞬時に見分け、それに基づいて行動しなければならなかった時代にさかのぼるようなシステムです。

それに比べると最近に発達したシステム2は、より意識的な思考、合理的な推論、新しい知識の学習を担当する「論理的」な脳です。しかし、この脳は、処理速度が非常に遅く、瞬時の決定が必要な時には、この新しい脳が状況を分析して決定するような時間はありません。そして、新しい脳を使うことには、多くのエネルギーを消費します。

この2つの脳を知ることは重要です。なぜなら、デザインのときには両方に対応しなければならないからです

情報アーキテクチャー、論理ユーザーフロー……、これはすべて、System 2向けデザインです。情報が多すぎる、読み込みが多すぎる、処理が多すぎると、システム2がシャットダウンします。重要なことですが、システム2向けにデザインするとき、すべてはそのデザインが機能するか、簡単に理解できるかにその成否がかけられます。システム2向けのデザインは最も重要です。そもそも誰かが製品を使用している理由は、彼らが達成目標を持っているからです。そのため、System 2が理解し、処理し、使用するのが簡単な製品でなければなりません。

しかし、システム1は2よりではないにしても、同様に重要です。

それは本能、ほとんどの決定をしているものに作用するのがシステム1だからです。あなたのシステム2が今目の前で起こっていることを処理する前に、システム1はあなたが目の前の人を好むかどうか、目の前の食べ物を好むかどうか、この本はどうか……などについてすでに決定しています。システム1が人生で大部分の事柄について決定をしているのですから、製品についても同じように先行的な決定をするのは確実です。

 

さて、これはデザインにとってどういう意味をもつでしょうか?

それはつまり、たいていの場合はシステム1こそが意思決定者である(システム2に達する前に決定される)のですから、、デザインはまずもってシステム1に向けてなされるべきである、ということです。

 

 

システム1へ向けたデザイン

 

さて、システム1は、本能、直観的反応、および感情に基づいて行動します。

考慮すべきは、脳の30%が視覚に捧げられたニューロンで構成されていること(触覚は8%、聴覚は3%)、脳へ伝達される情報の90%が視覚的であるということです。システム1は、主に私たちが見ているものに基づいて決定をしているのです

昔日には、脳の美的システムは、食品や適切な仲間のような生存上重要性をもつ対象を評価するべく進化しました。今では、美しいアート作品やプロダクトにも同じシステムが使われています。

システム1は視覚的な魅力について製品を判断しています。視覚に訴える製品であることの重要性がわかります。

 

感情に向けたデザイン

システム1向けにデザインするとは、中脳の機能である感情向けにデザインすることも意味します。しかし、感情向けデザインとはどういうことでしょうか?

これについては、本質的に、人間的つながりに向けたデザインであると考えることが出来ます。

他人とのつながりをつくるためには、あなたは親切にする必要があります。何か話しかけるための話を持っているか、どんな価値観をもっているのか、誰で、なぜ関わる必要があるのか、面白い人か、一緒にいて楽しいか、等々。

つまりそれは、自分の個性と、自分が誰を輝かせているかを伝えることを意味します。

しかし、それはまた、自分が誰であるか、自分が信じていることなどをよく理解する必要があることを意味します。これが大前提ですが、それにはかなりの自己認識が必要です。次に、ビジュアル、言語、インタラクションを通じてそれをどのように表現するか、という段階です。これらのステップは非常に難しく、本当に「感情的なデザイン」で成功している製品というのはほんの一握りしかないでしょう。

神経学的にも、これには理があります。私たちの感情的な生活を担う辺縁系は、長期記憶のコード化と検索に一役も二役も買っているからです。感情的に抱かれた経験(喜びや怒り)は、感情的な愛着がほとんど感じられなかった出来事や状況よりも深く記憶されるのです。

進化論的に言えば、感情と記憶が絡み合っているのは理にかなっています。私たちが恐怖と不安が生存に直結していた時代には、意識的思考が起こる前に、私たちの直感的な感情が危険を予告してくれました(システム2は応答がずっと遅いです)。

そして、今日も同じ辺縁系が存在しています。人々が強い感情に関係して印象づけられる素晴らしい体験をデザインすれば、次回にもそれを覚えていてもらえます。

 

製品開発のためのMaslowのピラミッド

これは心理学者A・マズローが作った有名な欲求階層ピラミッドですが(ここでもっと読むことができます)、これは、製品に関わっているユーザーのニーズの階層としても理解できるものです。

三角形の底部にある機能的であること(Functional)、信頼できること(Reliable)、使いやすさ(Usable)の基本的なニーズは、上に進む前に満たされなければなりません。ピンクの線が示すように、ほとんどの製品はトップには達しません。

ピンクの線の下にあるものは、ほとんどシステム2の設計に関係していると理解できます。製品は信頼性をもって機能し、簡単に使用できるか、論理的か、「新しい脳」に負担をかけることはないか、等々。「ほとんど」と言うのは、製品のデザインが不味い場合、システム1によって長期記憶にコード化される否定的な感情が生じるからです。

しかしピンクライン以上のものは、システム1のためのデザインに関わっています。楽しいか、意味があるか、等々。

三角形の底面のデザインはすでに標準となっている中、あなたの製品が他のパックとどのように区別されるのか。そのカギは、私たちのより原始的な性質であるシステム1に向けたデザインにあるということができます。

 

 

※本記事は、Design for our primal natureを翻訳・再構成したものです。

 

 

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