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UXデザイナーのためのユーザーリサーチ基本ガイド

本記事は、Essential Guide to User Research for UX Designers
翻訳・再構成したものです。
配信元または著者の許可を得て配信しています。

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読了時間 : 約7分56秒

ユーザーリサーチ – UXデザイナーが見逃してはいけないデザインプロセスの重要な部分です。これは、UXデザイナー、または単純にユーザーリサーチについてもっと理解したい方たちのためのガイドです。

 

実際の現場でユーザーリサーチがどのように行われているか理解するために、Mo氏にプロダクトデザイナーとしてどのようにリサーチをするのか話を聞きました。

 

取り上げた内容:

1.はじめに

・ユーザーリサーチとは

 

2.ユーザーリサーチの重要性

・プロセスにユーザーを含める
・ユーザーリサーチへの共感
・ユーザーリサーチをしないとどうなるのか
・関係者とチームの同意
・ユーザーリサーチではできないこと
・万能のアプローチはない

 

3.ユーザーリサーチのやり方

・リサーチ目標を明確にする
・リサーチ方法の種類
・組織リサーチについて

 

ユーザーリサーチとは

ユーザーリサーチは、ユーザーのニーズ、行動、経験、動機を理解するために行うものです。ユーザーの問題を解決するプロセスを情報提供するため、質的および量的な様々な方法を使用します。

 

Mike Kuniayskyはユーザーリサーチをこのように述べています。

「観客に対するデザインの影響を理解するプロセスです。」

 

ユーザーリサーチの重要性

優れたUXデザインは優れたユーザーリサーチに基づく – 優先順位と技術的な実現可能性のバランスをとりながら、ユーザーの洞察力によって進められます。

 

ユーザーリサーチは、ユーザーとそのニーズについて重要で役に立つものを見極めるのに役立ちます。ユーザーとそのニーズ、感情、気分、苦労などが分からなければ、優れたユーザーエクスペリエンスを提供することはできません。

 

「すべてはユーザーから始まります。」

 

プロセスにユーザーを含める

ユーザーリサーチはデザインプロセスでユーザーに参加してもらう絶好の機会です。ユーザーと協力することで、ユーザーを中心としたデザインができるのです。これはユーザーにとっては質の良い製品を作るために、大変重要です。

 

ユーザーリサーチへの共感

共感がユーザー中心のデザインの鍵であることは、とくに驚くことではありません。共感とは、他人の視点から物事を見るために自分自身の思い込みに流されないことです。

 

つまり、共感とは他人の経験や感情を彼らの視点から理解する能力と言えるでしょう。

 

なぜこれがユーザーリサーチに重要なのでしょうか?ユーザーを優先することで、ユーザーが自分の生活をもっと楽にするために何が必要かという観点からアプローチできるからです。

 

「あなたはユーザーではありません。」

 

この利点は、ユーザーと製品が感情的につながることです。ユーザーは自分のニーズが満たされていると感じ、製品を使い続ける可能性が高くなります。

 

ユーザー中心のアプローチでしっかりと研究を行うために、Australasian Medical JournalでThomasとMcDonoughが議論したゴールデンサークルモデルを適用することができます。これには3つの重要な質問があります。

 

・その目標を達成しようとしている理由は何ですか?
・どうすればこの目標を達成できるのでしょうか?
・この目標を達成した結果はどうなりますか?

 

ユーザーリサーチは、ユーザーの観点、経験、知識、メンタルモデルからユーザーについて学ぶことで、先入観を取り除くのに役立ちます。それは調べて証明する、あるいは仮定が誤りであることを証明することです。正しく行われれば、ユーザーリサーチは、ユーザーのニーズの理解した上で設計を決めるときの証拠になります。

 

ユーザーリサーチをしないとどうなるのか

チームや組織では、「ユーザーリサーチの時間や予算がない」や「製品を作るために必要なユーザーの知識を十分持っている」などの理由でユーザーリサーチのプロセスを回避したり、急がせたりすることがよくあります。

 

ユーザーリサーチは計画と実行を前倒しで行うための時間を必要とするので、実施すれば設計プロセスがもっと長くかかることになるかもしれませんが、ユーザーリサーチを怠ると長い目で見て組織に不利になります。

 

「ユーザー調査を行わないと、長い目で見たとき組織が不利益をこうむる可能性があります。」

 

では、適切なユーザーリサーチを行わないことの代償は何でしょうか。

 

・この製品には、ユーザーの問題を解決しないという優れた機能があります。
・誤った前提が製品の形と機能に組み込まれているため、ユーザーフレンドリーな製品ではありません。
・製品がユーザーを混乱させます。

ノーマンドア

 

適切なユーザーリサーチを行うことの大切さをチームや組織に認識させると、長い目で見たときに時間、お金、労力を節約するとこができ、実際にユーザーのニーズに応えられる製品を作り上げることができるのです。

 

関係者とチームの同意

素晴らしい、あなたはプロジェクトや製品のユーザーリサーチをしているのです。このステップは優れたUXにとって最も重要ですが、調査の洞察と知識がチームや関係者と共有されていない限り、どれだけ調査しても十分ではありません。

 

「チームとリサーチを共有しない限り、いくら研究しても十分ではありません。」

 

チームを研究に含めるか参加させることが大事です。そうしないと、関係者の意見を取り入れるのが難しくなるかもしれません。プロダクトマネージャ、データサイエンティスト、エンジニア、その他の関係者などと協力する必要があるでしょう。チームにはそれぞれ違った観点と優先順位があります。

 

デザインはチームスポーツであるため、開発に入る前になぜチームが製品を組み立てているのか、どのような問題を解決しようとしているのかをチーム全体に理解させることが重要です。

 

チームと関係者をリサーチに参加させましょう。ユーザーにインタビューを行っているとき、チームメンバーにメモを取ってもらいます。チームと研修会を開き、研究で得られた生データの分析や分類をしてみてください。もしそれができないなら、調査結果を共有しチームを巻き込むのです。

 

チームと関係者をユーザーリサーチに参加させることで、ユーザーのニーズについての共通の理解が生まれ、対応するソリューションを作成するという同じ目的に向かって作業することが、かなり楽になります。

 

「チームをユーザーリサーチへ参加させると、ユーザーのニーズを共有できます。」

 

チームを味方につけると、一緒に製品を作り上げるプロセスがよりスムーズになり、将来のもめ事や誤解が減ります。チームがあなたと同じくらいユーザーを支持するようになるかもしれません!

 

ユーザーリサーチではできないこと

ユーザー調査の目的は、ユーザーから得た知識と見解を基にユーザー中心のソリューションを作成することです。

 

ユーザーリサーチの情報はデザインに使えますが、すぐに問題の解決策には結び付きません。アイデアとデザインを何度も繰り返し調査することにより、解決策に到達できるのです。

 

万能のアプローチはない

ユーザーリサーチを行うとき「万能」というアプローチはありません。それは全て、解決しようとしている特定のユーザーグループと内容に依存します。

 

これらはプロジェクトによって異なるので、プロジェクトごとに定義し理解するのが設計者としての仕事となります。

ユーザーリサーチのやり方

リサーチを始める前に最初にやるべきことは、リサーチに関して正しい質問をすることです。リサーチの目的は何ですか?何を理解しようとしているのですか?

 

リサーチを行うための質問を進めるのに役立つ基準のセットがあります:

 

・具体的に

・理解しようとしていることに着目し、関連性がある

・自分のリソースを使い実用的に行う

・それらを使用可能にする

・柔軟性を持ち、使用する方法にこだわらない(この段階では)

 

リサーチ方法の種類と使うタイミング

リサーチは多次元です。かなり様々なタイプの方法やアプローチがあり、研究に集中しないと圧倒される可能性があります。ここではいくつかの重要なリサーチ方法と使用するタイミングについて説明します。

 

・製品ライフサイクルの段階

・定量的と定性的

・姿勢と行動

製品ライフサイクルの段階

発見

設計プロセスの初期における大事な目標は、予備的なリサーチを行うことです。各プロジェクトには、リサーチで調査する必要がある独自の内容と特定のユーザーグループがあります。次のような質問を行います:

 

・ユーザーが必要としているものは何ですか?
・すでに機能しているものは何ですか?まだ機能していないものは何ですか?

 

この段階では1対1のユーザーインタビュー、フォーカスグループ、競合分析、ベンチマーク調査、民族学的調査のような方法が適しています。

 

開発

考えたものを開発し、ワイヤーフレームとプロトタイプを作成して、実際にデザインがユーザーの問題解決に役立つかどうかを評価し検証する必要があります。

 

・ユーザーはどのように機能するか理解していますか?
・ユーザーはどのようにプロトタイプを操作しますか?
・ユーザーは自分が探しているものを見つけることができますか?
・見た目も動きも正しく機能していますか?

 

使用するテストの例は、次の通りです。監視されたユーザビリティテスト、監視されていないユーザビリティテスト、プロトタイプテスト、カード分類、嗜好テスト、A/Bテスト。

 

稼働

設計が動き始めたら、製品がユーザーのニーズをどれだけ満たしているかを測りましょう。ここでの目標はパフォーマンスを測定し、体験を最適化することを目的とします。

 

この段階では、ユーザーからのフィードバックは本当に役に立ちます。状況が変わることもあるので、最初にユーザーの問題を解決するために作成した製品が最善の解決策ではなくなっているかもしれません。重要なのは必要に応じて積極的に対応し、繰り返すことです。

 

方法には、世論調査、データ分析、バグ報告などがあります。

 

簡単に言えば、ユーザーの調査は製品ライフサイクルのどの段階でも行うことができます。

 

量的

量的リサーチは、「何」を理解するために使用されます。この種のリサーチは数値的に測定することができます。たとえば「1週間にお店を訪れた人の人数」や「このボタンをクリックしたユーザーの割合」などです。この種のリサーチでは、トレンドとパターンを特定するために大量のデータを調査します。

 

例としては、世論調査、分析、A/Bテストがあります。

 

量的な調査で測れないのは、特定の傾向やパターンがなぜ発生するのかということです。

 

質的

質的リサーチは「なぜ」を明らかにします。「なぜユーザーは製品に対してある決まった態度をとるのか?」あるいは「このページで何を見るのか?」というようなことです。

 

質的リサーチでは、ユーザーの姿勢、行動、意見を調査します。トレンドやパターンが生じる理由の背景を理解するための重要な洞察をもたらします。

 

例としては、ユーザーインタビュー、現地調査、ユーザビリティテスト、顧客への電話があります。

 

ユーザーと解決すべき問題を総合的に理解するには、量的方法と質的方法の両方を組み合わせて使うことが大切です。どちらの方法も異なるリサーチの質問に答えるのに役立ち、一方を他方の代わりにすることはできません。

 

姿勢

姿勢に関するリサーチは、ユーザーがある経験に対して特定の態度や感情を持っているかを評価しようとしています。例えば、ユーザーが自分の製品を使うことを楽しんでいるかどうかです。

 

 

例としては、フォーカスグループ、カードの並べ替え、世論調査、アンケート、参加型デザインなどがあります。

 

行動

行動リサーチは、ユーザーが問題の製品をどうするかに焦点を当てています。これはユーザーがどのようにサイト内を検索するのかを調べるためのものです。

 

 

例としては、A/Bテスト、視線追跡、クリックストリーム分析、ユーザビリティ調査などがあります。

 

忘れてはならないのは、ユーザーの発言と行動は異なる場合が多いということです。そのため、姿勢と行動に関する調査を組み合わせて行った方がよいでしょう。

 

組織リサーチに関するメモ

ユーザーリサーチを行う前に、組織、組織内の関係者、製品が存在する業務を理解することを重視するべきです。

 

チームが実施した調査を通じて、製品とユーザーについて学んで下さい。そうすれば自分のリサーチにどのように集中するべきか、もっと良いアイデアが浮かぶでしょう。

 

さまざまな種類の研究には、重複する部分がかなりあります。どの方法を選ぶかは、答えを求めている研究の質問や研究の目標によって異なります。

 

結論

ユーザーリサーチはUXデザインに不可欠です。正しいユーザーリサーチを行えば、素晴らしいUXを作るのに役立つでしょう。

 

忘れないでください。全ては、ユーザーのニーズを満たすためなのです。Nielsen Norman Groupの副社長、Hoa Lorangerは次のように述べています。

 

「ユーザーのいないUXはUXではありません。」

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