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【サイバー心理学から学ぶUX】ユーザーの「モチベーション」に働きかけるデザインの要点とは?

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サイバー心理学は、テクノロジーとのインテラクションにおける人間の心と行動を研究する心理学の一分野で、オンラインの世界とその人間の行動への影響を調べます。 この新しい分野から出てくる成果を理解すれば、デザイナーは、さまざまなテクノロジーに対して人間がどのように反応するかをより正確に予測できます。

したがってサイバー心理学は、デザインする製品がどうすればユーザーにより好まれるかを考えるとき、非常に有用な武器になります。

そこで本記事では、サイバー心理学の最近の研究を紹介し、それがWebデザインにどのように活かされるかを紹介します。

 

何がオンラインでユーザーを動機づけるのか?

 

長い間、マズローの欲求階層論は、人間のモチベーション理論の定説になっていますが、欲求階層には欠点があります。その 1つは、人々が自分の行動をどのようにして優先順位をつけているかを記述しているだけで、その人々がその活動に用いる活力や興奮、エネルギーのあり方については説明していない点です。

自己決定理論Self determination theory)は、モチベーションをユーザーの優先順位に還元するのではなく、最初にユーザーエンゲージメントの増加をもたらした根っこにある「トリガー」から考えることで、このギャップを埋めるものです。

自己決定理論は、モチベーション、パーソナリティ、時々の行動についての理論です。モチベーションの総量だけではなく、モチベーションのさまざまに異なったタイプに焦点を当てています。

つまり自己決定理論は、人間のモチベーションを促進する主な要因について説明するものです。ユーザーの自己決定にとって本質的なニーズに合わせたエクスペリエンスをデザインすることで、ユーザーをより本能的に使用へと動機付ける製品を作ることができます。

このニーズとして、(1)関係性、(2)適性(能力)、(3)自律性の3つが挙げられます。

 

(1)関係性

人間は、他者との緊密で情感的な関係を感じ、この効果のために複数の社会的集団への関わりを維持することへの深い欲求を持っています。

人間はまた、自分よりも大きなものに関係していると感じることへの生まれながらの欲求を持っています。この欲求は、さまざまな宗教、ナショナリズム、会社のビジョン、その他の使命や目的への献身などを通じて表現されることが多いものです。

この人間の必要性は、ユーザーがブランド支持者なりうるような製品についても考えられるものです。一度ブランドに関わったら、よほど重要な理由がないかぎり、ユーザーは同じブランドを支持するものです。

・例

Whatsapp、Facebook、Instagram、Twitterなどのソーシャルネットワーク製品は、さまざまな規模の社会的集団における人間の必要性を満たしています。

ソーシャルプルーフ(社会的に受容されたり実例があることによる有益性の証明)は、既に製品を使用している他のユーザーとユーザーを接続することで、ユーザーの行動に影響を与える一般的な方法です(「このアイテムを買った人はこれらも買っています」etc.)。

 

(2)コンピテンシー(適性、能力)

私たち人間には、人生を通して新しいスキルを身につけつつ進歩し、自分自身を継続的に改善することへの深い欲求を持っています。私たちは、成功できると感じられるようなチャレンジを求め、絶対に成功できないと考えているようなものを始めたりはしません。

学んだ新しいスキルが日常的になるにつれて、それらに飽きてきます。一度エキサイティングだったことは、同時に誇張と挑戦の両方になります。

ゲーミフィケーション※、報酬制度、進捗度メーターなどが、デザイナーがユーザーの入門時に特に進歩と自己改善の感覚を生み出すために使用する重要なツールです。

※ゲーミフィケーションについては以下の記事を参照してください。

・例

新たに学習してマスターすべき機能が付加されていないかどうかというユーザーの関心を引くために、頻繁にプロダクトを更新するなど。

 

(3)自律性

人間の活動の最終的な動機は自律の感情です。つまり、自分が属している環境に対して力を持っており、これをコントロールできるという感覚です。

しばしば、選択できるということが目的地が何かより重要なことさえあります。

製品を、選択をめぐる肯定的な経験に結びつけ、ユーザーになにかを達成する権限を与えることが効果的です。

・例

マーケティングの様々なレトリック(「あなたは競合他社に伍することができます…」、「これらの3つの価格オプションから選択してください」、「コーヒーにはクリームを入れた方がいいですか?」etc.)。

製品に何を投げても、製品が「きちんと機能する」という気持ちのよい感じ。

自律性、能力および関連性は階層ではなく、人々が行動し、デザインに関わり、他のユーザーにあなたの製品を使用する際の喜びを伝えることにつながるようなモチベーションへと働きかける、一連の相互に連関した要素です。

これらのモチベーターは競合する可能性があり、実際競合することがありますが、2つまたは3つのモチベーターを引き金にするソリューションが結局勝ち取られることになります。

したがって、関連性、能力と自律性が組み合わさったような動機づけができれば、よりユーザーに選ばれる製品を作ることができるはずです。

 

 

※本記事は、Cyberpsychology and UX: The Latest Researchを翻訳・再構成したものです。

 

 

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